政府系シンクタンクのエコノミストなどは、こうした流れのなかで来年からの5カ年計画は年率6・5%成長がやっとと判断し、習指導部に進言している。
成長エンジンを吹かすより、痛みの伴う経済の構造改革を行いながら、雇用安定も図れる6・5%がギリギリだとみる。楼継偉財政相も今年4月、「構造改革を断行しなければ中国は今後5年から10年の間に『中所得国の罠(わな)(先進国になれずに長期停滞が続く)』に陥る危険性が50%ある」と警告した。国際社会から見れば、良識派の発言だ。
しかし、こうしたマクロ経済のコントロールで“失速”を避けねばならないと考える進歩的な勢力は、バブル経済で潤い続けた石油や電力、鉄道、銀行、不動産などの産業に連なる既得権益とガッチリ握る党内の黒い守旧派とぶつかる。
政府の財政負担による公共投資を増大させるなどして“オイシイ汁”を吸い続けたい守旧派は、来年以降も年率7%の成長を計画に盛り込ませようと暗躍している。所得倍増計画の公約が口実にもなっている。