中国人民銀行(ロイター)【拡大】
【上海=河崎真澄】中国人民銀行(中央銀行)が人民元の対ドル取引の基準値を、13日まで3日連続で引き下げた。年7・0%の経済成長を死守しようと元安誘導による輸出拡大など、なりふり構わぬ景気対策に手を染めれば、中国経済は再びバブルに向かいかねない。安定成長や構造改革をめざしていた習近平指導部による「新常態(ニューノーマル)」路線は、風前のともしびとなっている。
国家外為管理局長を兼務する人民銀行の易綱副総裁は13日の記者会見で、人民銀行が基準値の算出方法を突然変更したことについて、「人民元の市場化と国際化を進め、国際的な信認を得るため」と狙いを説明した。事実上の元切り下げだが、輸出のための元安誘導との批判を退けた。
実際、一部邦銀関係者の間では、「基準値を為替相場の実情に合わせる措置で、市場介入ではなく金融自由化に沿っている」との前向きな評価もある。ただ、金融政策運営で独立性の低い人民銀行が基準値を連日決める特殊な管理体制が基本にある以上、「国際的信認」は得にくいのが実情だろう。
易氏は一方で、「2005年7月の為替制度変更から、すでに元は対ドルで実質55・7%も上昇した」と強調。欧米の元安批判で始まった元高調整は目的を達したとの見方を示した。市場関係者はこの発言を「さらなる元安誘導を示唆したものだ」と受け止めた。