「月の石」が原点?
財界からそっぽを向かれながらも、松井知事が熱心に万博誘致に取り組む背景には、「世界の諸都市と競争できる大阪をつくっていきたい」との思いがある。
これまでも盟友の橋下徹大阪市長とともに、大阪観光局の設置を主導するなど、大阪への外国人客誘致にも取り組んできた。「大阪」の知名度を世界で高めるため、関連法案が国会で継続審議となっているカジノを中心とした統合型リゾート(IR)の誘致も目指している。
ただ、大阪の経済活性化だけが理由ではない。小学2年生のときに訪れた1970(昭和45)年に開催された大阪万博も少なからず影響しているようだ。
「とにかく見るもの、聞くもの、初めてのものが多く、『月の石』とか、とてもワクワクした。未来の生活みたいなものがありました」
3回ほど万博会場を訪れた松井少年の心を奪ったのは電気自動車だった。当時は万博でしか見られない珍しい技術が、現代では当たり前になっている。
「(万博で披露されるものは)今日、明日でヒット商品にはならないが、時間がたてば必ず、それが爆発的なヒット商品になる」