政府・与党は16日、生活必需品の消費税率を抑える「軽減税率」を導入する際の事業者の経理方式について、当初は事務負担が少ない現行の請求書ベースの簡易方式とする案を軸に検討に入った。売上総額から税額を計算する「みなし課税」も含め議論する。商品ごとに異なる税率と税額を細かく記す「インボイス(税額票)」は中小・零細企業に配慮すると平成29年4月に間に合わないとの見方から、数年後をめどに導入する方向で調整する。
自民党税制調査会は16日、宮沢洋一会長の就任後初の非公式幹部会合を開き、消費税10%への引き上げ時の負担軽減策として軽減税率の導入に向けた本格的な検討に着手した。与党は11月末をめどに制度の詳細を固め、年末に取りまとめる平成28年度税制改正大綱に具体策を盛り込む。
自民党税調は、消費税増税分の一部を払い戻す還付制度を軸に調整しようとしてきたが、宮沢氏は会合後「たたき台ではなくなった」と述べ、還付案は撤回したことを明らかにした。
軽減税率を導入するには事業者が税額把握するための事務処理が必要とされ、財務省は適正な税額把握のためにインボイスが必要と主張。公明党は現在使われている請求書をベースにした簡易方式を推している。
宮沢氏は「インボイスでも簡易方式でも義務づけて実行するまでには時間が必要だ。29年4月から実行すると混乱が生じる」と説明。当面は、売り上げに占める軽減対象品目の割合を一定とみなす「みなし課税」なども含めて、幅広い案を検討する見通しだ。
自民、公明両党は来週にも与党税制協議会を開き、軽減税率導入に向けた制度設計の議論を加速させる。 制度導入に向けては経理処理以外の課題も山積する。対象品目の選定では、対象を広げれば税収が減り、狭めれば線引きが難しくなる。代替財源も焦点だ。経済界は中小企業の事務負担が重くなるとの懸念を強める。宮沢氏は、制度の具体化に向け「社会に混乱を起こすものであってはいけない」と強調した。