TPP対策を議論する自民党の総務会=20日午前、東京・永田町の党本部【拡大】
一方、査定する財務省も黙ってはいない。4日開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会では、補助金頼みの農業から脱却し、低コストの生産体制で輸出拡大を図るよう注文を付けるなど、水面下の攻防が始まっている。
安価な外国産農産物の流入など農家への打撃ばかりが強調されるなか、政府内では「TPPの恩恵をもっと分かりやすく発信したい」(経済産業省幹部)との意識が強い。だが、現時点では夢のある“お題目”ばかりが先行し、世界最大の自由貿易圏がもたらす前向きな変化が国民に十分伝わっているとは言い難い。
自民党の二階俊博総務会長は20日の記者会見で「国民が納得できるまで真摯な取り組みが必要だ」と強調した。今後、対策の具体化を通じ、政府が省益ではなく国益をどこまで追求できるかがその試金石となる。
(田辺裕晶)