公明党税制調査会総会などの合同会議で、税制改正大綱案の資料を手にあいさつする斉藤鉄夫税調会長(奥左から3人目)=10日午後、東京・永田町の衆院第二議員会館(斎藤良雄撮影)【拡大】
自民、公明両党が10日まとめた平成28年度税制改正大綱は、安倍晋三政権が目指す「経済の好循環」が国内の隅々まで行き渡るよう企業部門の活性化につながる施策をふんだんに盛り込んだのが特徴だ。法人税の実効税率を28年度に一気に「20%台」に下げることを決めたのは象徴といえる。
安倍政権が掲げる名目国内総生産(GDP)600兆円を実現するには、企業収益力の強化を柱とした「潜在成長率」の引き上げが不可欠だ。同時に、企業の国境を越えた活動が活発化するなか、より法人税の低い国に国内企業が流れることを食い止める必要もある。その両方を支える施策が法人税減税だ。
24年12月の第2次政権発足時には37%だった法人税の実効税率を、28年度に29.97%、30年度に29.74%に引き下げるとした。
さらに、利益にかかる法人税だと赤字がほとんどの中小企業には恩恵が及ばないとして、設備投資を行った中小企業の固定資産税を減税するという念の入れようだ。大・中企業の税負担を減らす代わりに、その分浮く利益が設備投資や賃上げの原資に使われ、雇用や消費を呼び成長につながるという明確な狙いをもった改正といえる。
世界を見渡せば、法人税を下げ企業誘致を拡大し、税収減を補うために消費税を増税するのが潮流だ。日本も、法人税を下げる一方で消費税は29年4月に10%に上げる。ただ、その先の消費税増税は全くの白紙としている。
日本の借金は1千兆円を超え、財政健全化も重要な課題だ。安倍政権は経済成長と財政健全化の両立を目指すとしているが、歳入の柱となる所得税や消費税を含めた総合的な税体系をどう再構築していくかについては今後に課題を残した。(今井裕治)