ドイツ陸軍が配備している自走砲「PzH2000」など最新の155ミリ自走砲は、1台で3台分の役目を果たす。1発目を高い山なりの弾道で、2発目は低い山なりで、3発目はより低い弾道で連続発射することにより、同一目標への3発同時着弾を可能としたのだ。砲弾の自動装填装置により1分間に8発の射撃が可能となり、これに最新のコンピューターを組み合わせたことで実現した。
弾道ミサイルでも、通常より低い弾道で撃つ(発射から命中までの時間が短い)「ディプレスト弾道」など、複数の撃ち方がある。また北朝鮮でいえば、ノドンやテポドンといった多数配備しているミサイルを同時間帯に発射することによって、迎撃能力をパンクさせる(飽和させる)戦法もある。
1対1ではない
ところでSM-3発射の“基地”となるイージス艦は200個以上の目標を探知し、同時に18発のミサイルを誘導できるとされている。ただしこれは敵航空機を迎撃する際のデータで、宇宙空間を飛ぶような高高度の弾道ミサイルを探知する場合、レーダーのビームを集中しなければならない。この際に向かってくる敵戦闘機などは、他の艦に迎撃を任せることとなっている。
実際の戦闘では「1発対1艦」ではなく、多くのミサイルに対し、多くの艦や地上のレーダー設備などが連携(データリンク)しながら迎撃することとなる。さらに米軍のイージス艦もデータリンクして迎撃に加わる。