
海上自衛隊のイージス艦「きりしま」から発射されるSM-3ミサイル(海上自衛隊HPより【拡大】
日本ではSM-3を発射・誘導できるイージス艦を現行の6隻から2隻増やし、20年度には全8隻とする予定。また27年度中に、地対空ミサイルを装備する部隊「高射群」の6群全てにPAC3を配備する予定だ。
1発でも?
ミサイル防衛(MD)に関しては「1発でも弾道ミサイルを撃ち漏らせば失敗」「命中率は100%でなければ意味がない」といった声もある。だからミサイル防衛(MD)は無意味だといった極端な主張だが、現実は逆だ。
冷戦時代、世界の平和は「相互確証破壊」という冷徹な理論で保たれてきた。相互確証破壊とは、敵対する2国の間で核戦争が始まれば、先制攻撃を受けた国にも必ず地下にある極秘の核ミサイル発射基地が複数生き残り、そこから報復の核ミサイルが発射されて2国とも壊滅するとの理論だ。
だが、SM3やPAC-3はこの「全滅の理論」を崩した。ロシアや中国がこの2種のミサイルによるミサイル防衛を「世界と地域の安定を著しく損なう」などと強く批判するのは、ミサイル防衛の実力を高く評価したことの裏返しでもある。
例えば北朝鮮が将来、核弾頭を積んだ弾道ミサイルを開発したとしても、米国に向け発射すれば撃ち落とされ無効化される可能性がある。にもかかわらず発射したが最後、米国から核ミサイルが無数に撃ち込まれるのだ。「相互」ではなく、少なくとも一方が確実に破壊される。わずかな核兵器など持っても意味がないと知らしめるためにも、ミサイル防衛は意味があるといえる。