それでも東京都心部に本社を置く金融機関に勤めるファミリー層を中心に人気は高い。総戸数は800。すでに約6割の住戸が契約済みで、菅井一樹・武蔵小杉マンションギャラリー主任は「これから1年半かけて売り切る」と自信を示す。
都心部の超高層マンションに対するニーズも依然として根強い。代表的な事例が、昨年11月に三井不動産が発売した地上44階建ての「パークコート 赤坂檜町 ザ タワー」(東京都港区)だ。販売戸数は163で平均価格は2億6400万円。坪単価は平均で約1千万円とバブル崩壊後の物件としては初めて大台に達した。それだけ高価な物件にもかかわらず、東京ミッドタウンに近いという抜群のロケーションを武器に全住戸に申し込みがあった。
郊外でも「マンション開発に適した広い土地は高値で取引されている」(不動産会社の担当者)。多摩地区の旧官舎があった場所の入札では、周辺よりも約3割高い価格で大手デベロッパー(不動産開発会社)が競り落とした。
こうした動きを背景にマンション価格は上昇を続けている。不動産経済研究所(東京都新宿区)によると、2月に首都圏で発売された物件の平均価格は5千773万円。9カ月連続の上昇となった。これに対し、一般的なファミリー層は価格上昇についていけず購入意欲が鈍っている。