この状況は、前回の価格上昇局面の終盤に当たる20年頃と酷似している。当時はリーマン・ショックが契機となって反落したが、「『同じような事態が再び訪れるはず』といった危機感を抱き、高値が予想される入札競争には参加しないデベロッパーが顕著に増えてきた」と別の不動産会社の仕入れ担当者は指摘する。
都心部の超高層マンションの市場環境も楽観できない。「シンガポールや香港、台北、上海に建つ物件に比べると割安感は大きい。まだまだ投資活動は活発化するはず」という見方がある半面、年明け以降の急激な円高や株安で投資家の心理が冷え込む可能性も捨てきれない。
また、高層マンションを使った相続税の節税防止に向け、課税強化が適用されれば売れ行きにブレーキがかかるのは必至。一連のシナリオが現実味を帯びた場合、地価の押し下げ要因につながる可能性もある。