オフィス内で中国人従業員の男が管理職の中国人女性を鋭利な金属で刺して死亡させた事件が起きた日系企業が入居している上海市内の商業ビル=19日(河崎真澄撮影)【拡大】
経営側の日本人が中国語を流暢(りゅうちょう)に話せない場合、多くとも数人の限られた通訳担当の中国人スタッフに社内情報の大半を頼ることになり、トラブルの存在を客観的に経営層が判断することが難しくなる。立花氏は対策として、「本社や工場、販売現場など数多くの部署で、本音で話してくれる中国人従業員を一人でも多くつくるよう、日本人管理職は必死に努力しなければならない」と説いている。
真相解明し教訓に
社内でも利害が反するグループから別々に上がってくる矛盾した情報から、一つの真実を浮かび上がらせるのは経営の仕事だ。中国のビジネスでは国有企業でも民間企業でも商業賄賂はありがちで、陰で日本人管理職が絡むケースもある不正行為が会社に多大な損害を与える前に、問題の芽をつんでおくのも経営の責任だろう。
積み重なる中国人従業員の怨恨の刃が、次はいつ、どの日系企業で、今度は日本人管理職に向けられないとも限らない。痛ましい殺人事件の真相が早急に明らかにされ、教訓が中国で広く日系企業の経営にも生かされなければ、亡くなった中国人女性従業員は浮かばれまい。(上海 河崎真澄)