中国の「市場経済国」認定 日米欧の連携で慎重に判断を (2/5ページ)

2016.5.15 07:02

中国河北省唐山の工場に山積みとなった鉄パイプ。中国で過剰生産された鉄鋼製品が安値で輸出され、日本などの競合企業の経営を直撃している=2015年11月3日(ロイター)

中国河北省唐山の工場に山積みとなった鉄パイプ。中国で過剰生産された鉄鋼製品が安値で輸出され、日本などの競合企業の経営を直撃している=2015年11月3日(ロイター)【拡大】

 通常、ダンピング調査は輸出国側の国内価格と輸出価格を比べ、不当に安い価格かどうかを判断する。ただ、中国のように輸出や生産などへの政府関与が強く、適正な国内価格を把握しにくい非市場経済国に対しては、第三国の価格などを基準にできることがWTOに認められている。

 中国にすれば、貿易相手国から反ダンピング関税をかけられやすい不公平な扱いということなのだろう。規定が失効すれば、その後は自動的に市場経済国の地位を得られると主張している。

 だが、これがすんなり認められるかというと、そうではなさそうだ。WTOには、市場経済国を定義する基準はなく、自動的に認定してよいかどうかは見方が分かれる。少なくとも日米や欧州連合(EU)は、それぞれ独自に是非を判断する方針だ。

 方向性はまだ固まっていない。米国は認定せず従来の扱いを続けるとの見方が有力だが、日本は検討中だ。議論が活発なのはEUで、対中関係を重視し認定に前向きな英国などと、反対するイタリアなどに意見の隔たりがある。

そもそも中国を市場経済国と呼ぶのは妥当なのか

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