法政大の小黒一正教授【拡大】
--消費税の再増税延期で、景気の下振れは防げるのか
「平成26年に消費税率が5%から8%へ引き上げられた際の景気への影響は、消費税が導入された元年より大きかったが、3%から5%に上がった9年よりは小さかった。今の景気が力強さを欠いているのは、人口減少などで潜在成長率が落ちているからだ」
--再増税延期で財政健全化への影響が懸念される
「政府は32年度に財政の健全性を示す基礎的財政収支(PB)を黒字化する目標を掲げる。ただ内閣府の試算では、高成長が続いても32年度に6兆円超の赤字が残る見通しだ。試算は29年4月の再増税が前提で、再増税延期により32年度のPB黒字化のハードルは一層上がる恐れがある」
--31年10月に再増税を実施できるか
「2年半後には景気が後退局面入りする可能性が高く、再増税に踏み切れる経済状況ではないかもしれない。また31年夏には次の参院選も控えており、政治的にも増税しにくい状況だ」
--政府が今後とるべき方策は
「現在の長期金利はマイナスだが、日銀の異次元緩和は近く限界に達するとの指摘があり、長期金利が上昇して国債利払い費が増え、さらに財政を圧迫する恐れもある。再増税を延期するなら、社会保障の抜本改革はもちろん、消費税率を年1%ずつ引き上げるなどの検討も含めて、財政健全化計画を早期に見直し、財政再建にしっかりと道筋をつける必要がある」
--再増税延期で、社会保障の充実策にも影響が出かねない
「予定されていた施策は毎年度の予算措置で実施される可能性はある。だが、財源不足によって、一部は先送りされるという事態も起こり得るだろう」