経済協力をめぐっては、「各国首脳と2人だけで協議し、譲歩を引き出すのはプーチン氏の得意技」(ロシア専門家)、「ボール球は見逃す勇気が必要」(与党議員)などと、ロシア側の要求に対し冷静に対処する必要があるとの声も広がっている。両氏による会談は、第1次政権から通算で16回目となる。
首脳会談を前に世耕弘成経済産業相(ロシア経済分野協力担当相)は12日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見。日露で合意する経済協力について「必ず融資・投資して返ってくるプロジェクトを選んだ。いわゆる『食い逃げ論』は当てはまらない」と強調した。
政治決断の呼び水
また、ロシア側の交渉窓口だったウリュカエフ前経済発展相が巨額収賄容疑で訴追され、失脚したことについては、シュワロフ第1副首相が代役を務めることになり、経済協力の作成作業では「問題がなかった」との認識を示した。
経済協力は北方領土交渉でプーチン大統領の政治決断を引き出すための呼び水だ。ロシア国内で返還に反対する意見が強いなか、北方領土を置き去りにして経済分野だけ進めれば国民の理解は得られない。
これに対し、世耕氏は「これまでにない規模とスピードで経済協力が進むことで、政治にいい影響を与える。好循環になってほしい」と述べ、経済協力が領土交渉の進展に結びつくことに期待感を示した。