
就任演説で拳を振り上げるトランプ米大統領=20日、ワシントン(ロイター=共同)【拡大】
また、米製薬業界は国民皆保険の日本市場を虎視眈々と狙う。TPPではバイオ医薬品の臨床試験データを開発者が独占できる保護期間を8年間で共通化し、各国が安価なジェネリック医薬品(後発薬)を入手しやすくしたが、2国間交渉に入れば長期の保護期間を認めさせるようロビー活動を強めるとの見方もある。
一方、経済官庁幹部は「米国と2国間交渉をしたら政権が持たない」と深刻な表情で漏らす。2国間交渉では、米国の圧力を他国と足並みをそろえてはね返す多国間交渉の戦術が使えず、TPP合意以上の譲歩を迫られる恐れがある。
このため、政府は交渉入り自体を避けたい考えだが、米新政権に再三迫られれば「どこまで抵抗できるか分からない」(通商筋)と不安が広がっている。
ただ、トランプ氏は日本だけでなく、中国やメキシコなども名指しで批判。特定企業に高関税を課すなど懲罰的措置を発動すれば、世界貿易機関(WTO)協定違反で各国と訴訟合戦になる可能性がある。政府は米新政権に対し保護主義の姿勢をいさめつつ、標的になった各国との共闘も視野に入れて、通商戦略を立て直す必要がありそうだ。