
レーガン政権下での主な日米通商交渉【拡大】
脳裏をよぎるのは88年に決着した牛肉・オレンジ交渉だ。輸入拡大を迫る米国に対し、日本は輸入枠の撤廃を受け入れた。米国内総生産(GDP)に占める対日貿易赤字は過去20年間で半減したが、貿易収支の悪化を背景に譲歩を迫る構図は現状と重なっている。
キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「2国間交渉が始まれば米国は牛・豚肉、コメなど『重要5分野』で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)以上の市場開放を求めてくる」と分析する。
米国はTPP交渉で、コメの輸入枠拡大や牛肉関税の1桁%までの引き下げを要求。日本側は重要5分野を「聖域」と位置付けて抵抗したが、結果的に、コメは関税を維持するが無関税の輸入枠を新設した。牛・豚肉は緊急輸入制限(セーフガード)を導入したが、関税を大幅に引き下げた。これ以上の譲歩は生産者にとって死活問題になる。
一方、トランプ氏は大統領就任後、農業政策について具体的な言及がない。農林水産省幹部は「政府の中でも情報が共有されていない。米国の出方を見守るしかない」と述べ、嵐の前の静けさに頭を抱える。(高木克聡、田辺裕晶)