
太平洋マグロの資源保護策【拡大】
政府はこの水準を守るため都道府県を通して各地の漁協などに漁獲枠を割り当てている。小型魚漁が中心の勝本町漁協では、配分枠の139トンを市内の承認船557隻に分けると年間250キロ、最大約50万円の収入しか得られず、中村さんは「今の規則は枠が少なく割に合わない」とこぼす。
■公約違反
規制を守る漁業者が多い半面、違反も相次ぐ。本県や長崎、和歌山両県で無承認の船が漁をしていたほか、三重県でも自粛要請を無視したケースが発覚。こうした中、水産庁は漁獲上限を上回らないよう太平洋南部、瀬戸内海、九州西部など4ブロックに操業自粛を要請したが、4月末には小型魚の国内漁獲量が国際合意した年間漁獲量の上限4007トンを初めて超えた。
宮城県気仙沼市を拠点に大西洋やインド洋で遠洋はえ縄漁業を営む勝倉宏明さん(49)は「国際公約を消費国の日本が破れば国際的な圧力が強まり、自然動物保護の観点から流通が止まる可能性すらある」と懸念する。
厳しい規制で大西洋クロマグロの資源回復につなげた欧州などでは、トレーサビリティー(生産流通履歴)制度が確立し、不正に取ったマグロは市場に出回らない管理制度が確立しているという。日本政府も罰則を設けるなど規制を強化する予定だが、制度の効果には依然疑問が残る。