
TPP首席交渉官会合の作業部会であいさつする尾池厚之首席交渉官代理=30日午後、千葉県浦安市【拡大】
日本はいずれも協定の大幅修正につながると慎重で、30日にはNZと個別協議した。関係者によると、NZ側は再交渉せずに済むよう新政権の説得を続けていると説明したもようだ。NZヘラルドの報道では、発効前の法制化により協定の範囲内で購入規制を実施できないか検討を始めた。
(2)日米FTA要求は?
日本の交渉団が強く懸念するのが11月5日からのトランプ米大統領訪日だ。日米自由貿易協定(FTA)の交渉入りを強く迫られた場合、TPP11カ国の交渉への影響も避けられない。
TPPは米国の離脱まで日米両国で域内の国内総生産(GDP)の約8割を占め、「実質的には日米FTA」との指摘もあった。その日米が別途交渉を始めれば米国のTPP復帰は望み薄となり、早期合意を目指す11カ国の機運が白ける。
(3)国内農家の反発は?
日本国内でもバターなどの低関税輸入枠について見直しを求める意見が農業関係者に根強い。米国の参加を前提に設定した輸入枠をNZなどが埋めれば、米国のTPP復帰や日米FTAなどで上積みを迫られかねない。
政府は交渉を停滞させないため、こうした声を表に出さない見通しだが、妥結後の国内承認手続きに影響が出る恐れがある。