日本の新幹線方式の採用が決まったインド初の高速鉄道計画が2018年、本格着工する。インフラ輸出を成長戦略の柱に位置付ける日本政府はインドを足がかりに、各国への売り込みに弾みをつけたい考え。だが、アジアを中心とした高速鉄道計画には、コスト面で有利な中国などが猛烈な攻勢を図っており、激しい受注合戦が続きそうだ。
破格の低金利
「日本は、ほぼ金利ゼロで資金を提供してくれる」。昨年9月14日、インド西部アーメダバードで開かれた高速鉄道の起工式に出席したモディ首相は安倍晋三首相らを前に、日本の協力に感謝の意を示した。
高速鉄道はアーメダバードと商都ムンバイ間の約500キロを結ぶ計画で、23年の開通を目指す。総事業費は約9800億ルピー(約1兆7000億円)を見込み、日本は用地取得費用などを除く工事費の約8割を円借款で供与する。金利は0.1%と「破格の低さ」(政府関係者)で、技術研修などの人材育成も行う。
日本は15年にインドネシア・ジャワ島の高速鉄道受注競争で中国に敗れた。国土交通省の幹部は「(高速鉄道が)開通すれば、新幹線の実力を世界にアピールできる」と皮算用する。
インドに続き、日本側が熱い視線を送るのが、マレーシアとシンガポールを結ぶマレー半島高速鉄道計画。米テキサス州の高速鉄道や、カリフォルニア州などにも新幹線システム輸出をもくろむ。ライバルになりそうなのが、中国だ。