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“渾身の一作”となった社員歌 ささきいさお熱唱!やる気が沸いてくる

ニュースカテゴリ:企業の経営

“渾身の一作”となった社員歌 ささきいさお熱唱!やる気が沸いてくる

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「5Sの歌」を新人社員の前で熱唱する2年目の社員ら(大日本スクリーン製造提供)  歴史と伝統のある企業の中には「社歌」をもっている企業は少なくないが、あまり聞き慣れない「社員歌」をつくっている企業がある。昭和18年創業の大日本スクリーン製造は、社員歌の作曲をアテネ五輪の日本シンクロナイズドスイミングチームの競技曲を手がけた作曲家に依頼。おまけに歌うのは、あの人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌を歌ったささきいさお氏だ。なんだか歌うだけで士気が鼓舞されそうな気がするが、誕生のカゲには何があったのだろう。

 「この曲は何?」と、訪れた取引先もびっくり

 「サービス セーフティ スピーディ セービング スタディ…」

 平成17年から、同社本社では午前と午後の始業5分前に、必ずささき氏が熱唱する社歌が流れる。歌詞を覚えていない社員はほとんどいない。社の信条を歌に託すことで、社員の意欲向上の効果は抜群とか。

 連日流れる行進曲のような力強いメロディーと歌唱力に、訪れた取引先や顧客もびっくり。「この曲は何ですか?」と尋ねることも少なくない。

 この歌の題名は「5Sの歌」。創立十周年を迎えた昭和28年10月の記念式典で、当時社長だった故石田●(=徳の心の上に一)次郎氏が、自社の進むべき道を示す社是として「5Sの信条」を発表した。

 「5S」とはスクリーンの頭文字にちなんで策定したスローガンで、Service(奉仕)、Safety(確実)、Speedy(迅速)、Saving(節約)、Study(研究)のこと。

 この5つの「S」の下に全社員が団結し、“世界のスクリーンになる”という夢に向かって邁進(まいしん)するという願いをこめたものだ。

 歌い手のささきいさおさんもほれ込んだ?

 半導体製造装置で世界市場に進出した同社は急速に成長。これに合わせるように、昭和39年には経営理念「思考展開」を制定。同時に「企業理念」も策定し、企業のキャッチフレーズもつくった。

 しかし、その急成長のカゲで、「5S」精神は社員の意識から次第に薄れていった。企業規模が大きくなって、“原点”を見失うことはよくあることだ。「5Sを言えない人間が社内にいるのではないか」。同社幹部が心配するほどだったという。 

 しかし、転期がやってくる。こうした危機感が高まり、平成16年、同社は経営理念とともに、改めて「5Sの信条」の共有を打ち出し、この社員歌の制作に取りかかった。

 当時のキャッチフレーズが「Synchronize!(シンクロナイズ)」だったことから、作曲にアテネ五輪の日本シンクロナイズドスイミングチームの競技曲を手がけた作曲家、大沢みずほ氏に白羽の矢がたった。

 そして、歌うのは「力強く、社員の背中を押す歌い手がいい」と、男性歌手の中から選考。多くの候補者から絞り込んだのがささき氏だった。

 ささき氏は、何よりもあの体の震えるような宇宙戦艦ヤマトの主題歌で、社員を鼓舞するには申し分ない。幅広いファンに絶大な人気があり、それが決め手になった。

 レコーディングは1日かけて行われた。ささき氏は何度も歌い直すこだわりようで、社員も参加して、ここに“渾身(こんしん)の一作”が誕生した。

 「この歌を聴くと、疲れていてもやる気が沸いてくる」と社員

 「この歌を聴くと、疲れていても仕事をやる気が沸いてくる」「ささきさんがそばで激励してくれているような気がする」と、社員の評価は満点。毎年の入社式では、入社2年目の社員が歌うのが恒例だ。

 ある幹部は「経営環境はめまぐるしく変わる。でも、『5S』は必ず、どんな時も変わらずにそばにいる。不安定な世の中だからこそ、社員はみんな、仕事に真摯(しんし)に向かう気持ちをもってほしい」と話す。

 音楽は人を動かす力をもっている。いろいろなミュージシャンがいう言葉だが、この社員歌が同社に不動の柱を植え付けていることは確かなようだ。(板東和正)

◇会社データ◇

本社=京都市上京区堀川通寺之内上ル4丁目天神北町1-1

設立=昭和18年10月

事業内容=半導体製造装置などの製造販売

売上高=2500億円(平成24年3月期連結)

従業員数=4890人(同3月末)

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