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任天堂“過去の遺産”に陰り 岩田社長は強気姿勢もソフト不足に不安

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任天堂“過去の遺産”に陰り 岩田社長は強気姿勢もソフト不足に不安

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記者会見する任天堂の岩田聡社長=24日午後、大阪市中央区  平成25年3月期の連結決算で、営業損益が364億円と2年連続の赤字に陥った任天堂。岩田聡社長は、26年3月期に1千億円の営業黒字を「コミットメント(公約)」として掲げ、達成できない場合は辞任も示唆している。

 ただ、低迷する据え置き型ゲーム機「WiiU(ウィー・ユー)」や携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の確実なテコ入れ策に掲げたのは、自社ソフトの集中投入が中心で、先行きには懸念もある。

 「目標達成は可能。到達できない想定は今はしていない」

 大阪市内で行われた24日の決算発表会見で、岩田社長は強気な発言を繰り返した。自信の裏には、最終損益(25年3月期)を黒字にした円安による為替差益の“追い風”や、今夏以降にWiiUの逆ざやが解消されるとの見通しがある。

 だが、スマートフォン(高機能携帯電話)向けゲームなどに押され、本業の「肝」であるゲーム機の売り上げが伸びない致命的な“弱点”はまだ克服できていない。

 25年3月期のWiiU本体の販売台数は345万台(1月末に示した販売計画では、4百万台)、ソフトは1342万本(同1600万本)と見込みを下回った。3DS本体の販売は1395万台(同1500万台)、ソフトは4961万本(同5000万本)にとどまった。

 岩田社長は、販売低迷の要因がソフト不足とした。しかし、WiiUは発売時にも自社の人気ソフトを投入しており、人気ソフト「スーパーマリオブラザーズ」など、“過去の遺産”にも陰りがある。

 「ソフトがヒットするかは不透明で、ゲーム機の確実に好転を保証するとはいえない」(証券アナリスト)との見方も根強い。

 過去には、5552億円(21年3月期)の営業利益を達成した実績もあり、コミットメントの1千億円は「決して冒険ではなく、堅実な目標」(業界関係者)と楽観的な声もある。

 だがソニーが年末に次世代ゲーム機「プレイステーション(PS)4」を投入するなど、今後も激しい競合が想定されるだけに、目標達成の先行きは不透明だ。

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