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NEC、巨額赤字から反転攻勢 3年ぶり黒字転換、1300億円調達も
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中期経営計画を発表するNECの遠藤信博社長=26日、東京都千代田区 巨額の赤字に陥り、リストラなどに取り組んできたNECの反転攻勢が実を結びつつある。
26日発表した2013年3月期の連結決算は本業のもうけを示す営業利益が前期比55.5%増の1146億円と大幅に伸び、最終損益も304億円の黒字(12年3月期は1102億円の赤字)と3年ぶりに黒字転換した。
三井住友銀行や三井住友信託銀行、日本政策投資銀行など5行から総額1300億円を劣後ローンで調達することも同時に発表。財務体質の強化を図り、16年3月期に1500億円の営業利益を目指す中期経営計画の達成に全力を挙げる。
13年3月期連結決算の売上高は1.1%増の3兆716億円。約1万人の人員削減を柱とする構造改革で営業利益が約400億円改善し、通信事業やITサービス事業が堅調だった。
14年3月期は売上高が前期比2.3%減の3兆円、営業利益は12.8%減の1000億円、最終利益は34.3%減の200億円と減収減益を見込む。携帯電話の販売代理店事業を手掛けるグループ企業を売却し、連結対象から外れることが響く。
16年3月期までの中期経営計画では社会インフラやネットワーク事業などに軸足を置き、売上高を3兆2000億円に高める。さらにアジアを中心とする新興国や途上国で拡販を図り、「海外展開の足がかりを作ることに注力」(遠藤信博社長)。
現在は16%の海外売上高比率を23%に引き上げたい考えだ。また、自己資本利益比率を10%(13年3月末現在で4.5%)に引き上げる目標も掲げた。
13年3月期に出荷台数が目標の430万台を大きく下回る290万台にとどまり、約150億円の特別損失を計上した携帯電話事業は、事業の再編を進める。
遠藤社長は「海外の携帯事業者とのパートナーシップを検討し、いい方向感を年内にも作り上げる」と、生産・開発体制の再構築を急ぐ考えを示した。
黒字に転換したものの、リストラ効果は一時的なもので、不振事業もまだ抱えている。力強さを伴う再生に向け、改革の成果が問われるのはこれからだ。(是永桂一)