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【クルマ人】「IS」で王者BMWを超えろ レクサス全面改良に込めた熱き思い
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トヨタが全面改良して発売した「レクサスIS」 トヨタ自動車は5月16日、高級車ブランド「レクサス」のセダン「IS」を全面改良して発売した。ガソリンエンジン車「IS350」「IS250」(420万円から)と新たに追加したハイブリッド車(HV)「IS300h」(480万円から)の2種類があり、IS300hの燃費性能はクラストップレベルのガソリン1リットル当たり23・2キロを達成した。
BMWの「3シリーズ」を筆頭に、メルセデス・ベンツの「Cクラス」、アウディの「A4」などドイツ勢の名車がひしめき合う「Dセグメント(排気量2000~3000cc程度)」でいかに存在感を高めるのか。「打倒BMW」に燃える開発者の小林直樹・製品企画主査に熱い思いを聞いた。
「開発に携わった瞬間から『デザインと走り』の二本柱だと思い、最後までぶれなかった。スポーツセダンとしてトップに立つんだという強烈な思いで開発に臨んだ」
「まず、シートに座った瞬間に『この車はいい』と直感で感じていただけるよう、ドライブポジションを見直した。ヒップポイントを下げ、ステアリングを近づけ、ペダルの角度も変えた。F1レーサーに近い状態で運転できる」
「車体では、従来のスポット溶接より溶接箇所の間隔を細かくできる新工法と、車体のたわみを抑える構造用接着剤を使った2つの新接合技術を採用した。車体の剛性を高め、優れた操縦性や走行安定性を実現した」
「スタイリングは、トライアスロンの選手のような無駄な筋肉をはぎ取ったスポーティーさを目指した。レクサス特有の『スピンドルグリル』のほか、ヘッドランプからクリアランスランプを独立させたアグレッシブなデザインはほかのモデルにも踏襲されていくと期待している」
「確かに、『後部座席が乗り降りしにくい』『子供が大きくなると手放さざるを得ない』という意見もあった。今回の全面改良で車長を伸ばし、競合車種ではトップレベルのスペースが取れている」
「これで国内ではレクサスの全車種にHVを設定できた。事前受注台数は4000台に達し、そのうちHVが7割を占めた」
「HVとディーゼル車の相対比較をやってきたが、それぞれの将来性を比べたとき、HVの方が将来性があると見込んだ。実際、欧州の走行実験でも、HVがディーゼル車を上回る二酸化炭素(CO2)排出量を記録した」
「将来、環境基準が厳しくなっても、エンジンとモーターをうまく組み合わせているHVの方がメリットがあると技術的に判断した。また、(トヨタは)HVの方が得意な技術なので、ライバルの技術と同じ土俵で勝負するより、われわれの持っている技術で勝負した方が個性も出てくる」
「BMWの3シリーズ、ベンツのCクラスなど各社とも気合いの入った車を投入している。3シリーズが何十年もクラスを超えた王者で、どのメーカーも3シリーズを追いかけ、追い越そうとしている。私もそう。今回チャンスを頂いたと思っている」
「デザインがよくても座ったらがっかりと、いうのが商品として一番困る。デザインで感動して、走ってもやっぱりいい!とならないと車好きのお客さまには納得していただけない。ISはシートや車体などの地道な技術を積み重ねており、乗れば乗るほど次から次に気づきがある。作り手の心も伝わってくる。そんな車を目指した」