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【直球緩球】全国地銀協会・谷正明会長「経済復活のカギ握る地方」

ニュースカテゴリ:企業の金融

【直球緩球】全国地銀協会・谷正明会長「経済復活のカギ握る地方」

更新

--日銀が景気回復を宣言した。地方経済の現状は

 「企業の景況感は上向いているが、業績にまでは結びついていない。例えば、建設業では公共工事などの話がたくさんあり、予算は組んでいる。だが、実際の工事の発注には至っていない。成長戦略が具体的に動き始めるのはこれからで、業績に反映されるまでには時間がかかるだろう」

--中小企業金融円滑化法が3月末に終了した影響は

 「円滑化法の対象企業の多くは、地方銀行にとって営業基盤そのものだ。円滑化法の終了後も、融資態度を変えていないし、企業にも長年、自力で経営してきた体力がある。雪崩を打つように倒産件数が増えることはない」

--地銀に求められている役割は

 「中小企業は販路拡大を求めて、海外進出やM&A(企業の合併・買収)に積極的だ。そうした企業を支援し、業績が良くなれば、為替の取引が増えたり、融資につながる。後継者問題や相続など、中小企業の最大の経営問題である事業承継をサポートすることも重要だ。大手銀行と違い、個々の企業に密着し、それぞれに合った手作りの支援ができるのが地銀の強み。地方経済の発展なくして日本経済の回復はない。そのためにも地銀はもっと力を発揮し、地域経済を発展させる責任がある。全国地方銀行協会としても発信力を高めていきたい」

--国内の銀行は飽和状態にあるといわれている

 「人口減少と高齢化で市場が縮小する中、将来を見据え、経営統合という道を考えるのは地銀の経営者として当然だ。ただ、地域や銀行ごとに事情は異なる。再編については、政治の介入など他からの押しつけではなく、最終的に各行が判断することだ」         (小川真由美)

                           

     ◇

 たに・まさあき 早大第一法卒。昭和41年、福岡銀行入行。平成元年証券部長、5年取締役、11年専務取締役などを経て、17年頭取。19年からふくおかフィナンシャルグループの会長兼社長を兼務。今年6月12日付で、全国地方銀行協会の会長に就任。福岡県出身。70歳。

                           

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