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【野村HD研究】(1)創業90周年へ「4本の柱」軸に改革
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1925年に設立された野村證券の前身である野村商店の看板
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アベノミクス2年目を迎え、日本株を中心に市場が活況を呈する一方で、「来るべきインフレに備えて、いかに資産を守るのか」という問題が浮き彫りになりつつある。「貯蓄から投資へ」を謳う、金融・資本市場の活性化に向けた施策の検討も始まり、NISA(少額投資非課税制度)も今年1月にスタートした。これらを契機に間接金融から直接金融への「うねり」が起こりつつあると金融業界では見る。一方で、日本の個人金融資産に占める預貯金の割合は依然として高い水準にあり、「貯蓄から投資」への流れはいまだ本格化していないというのも事実だ。こうした中、創業の精神に立ち返り、顧客向けサービスの向上に全力を挙げる野村グループの今とその戦略を取り上げていく。
「当社は引き続き、『アジアに立脚したグローバル金融サービスグループ』として、国内外のお客様に付加価値の高いソリューションを提供し、経済の成長や社会の発展に貢献していく」
2014年1月30日、野村ホールディングスの14年3月期の第3四半期決算発表にあたり、永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)はこう述べた。
昨年12月30日の大納会で、日経平均株価は戦後4番目となる年初来56%の上げ幅を記録。こうした国内株式市場の好調ぶりなどを背景に、野村ホールディングスの同四半期における税引前当期純利益も前年同期比6.7倍の869億円に急増。1~3四半期(13年4~12月期)累計では同4倍の2730億円に達し、8年ぶりの高水準で推移している。
同グループでは、12年から取り組む10億ドルの追加コスト削減についても14年3月期までの当初スケジュールを6カ月前倒しで達成。16年3月期の経営目標としてEPS(1株当たり利益)50円の達成を目指している。
今年1月にスタートしたNISAでも、野村グループは一定の成果を挙げている。昨年5月から全国の支店でNISAセミナーを開催しているほか、各種キャンペーンの実施、女性社員からなる「野村NISAチーム」による情報発信など、総力を挙げて普及活動に臨んでいる。今年1月23日、国税庁はNISA口座の申請件数が569万件に達したと発表したが、野村グループでは12月末時点で116万口座を獲得している。
15年に創業90周年を迎える野村ホールディングスは、国内証券最大手の野村証券を中核企業に、30を超える国や地域でビジネスを展開。
従業員(連結)は全世界に約2万8000名を数え、営業部門の「残あり顧客口座数」は500万を超えた。顧客資産残高は13年12月末時点で過去最高の96兆円に達している。
野村証券の支店・営業所は全国159と国内有数の規模。営業部門の強固な営業基盤や販売力が、ホールセール部門における引受ビジネス(新規株式公開(IPO)や公募・売り出し(PO)、起債などの引き受け業務)などの投資銀行業務の強みを支えている。
いわゆるリテールとホールセールを一体運営するビジネスモデルが特徴で、野村グループが大きな実績を挙げている理由の一つがここにある。
「世界経済が新しいステージに入り、日本の社会構造が転換点を迎えている今、過去のビジネスモデルにしがみついていたのでは、野村にチャンスはありません。フォローウィンドの今こそ、われわれ自身が本気で変革に取り組まなければ、二度と改革のチャンスは訪れない。その覚悟を持ち、今年は『新しい野村の姿に変わり切る』ことを目標にしたい」と、永井グループCEOは今年1月6日に行われた年賀式で述べている。
野村グループが進める変革の基盤となる考え方が、「すべてはお客様のために」という基本観の下で、「アジアに立脚したグローバル金融サービスグループ」として顧客ニーズに対応し、付加価値の高い商品やサービスを提供していく、というブランド・ストーリー。
このブランド・ストーリーを支えているのが、「アジアから世界へ、お客様の未来と市場をつなぐ」(Connecting Markets East&West)というコーポレートメッセージだ。
同グループは08年に、リーマン・ブラザーズの日本・オーストラリアを含むアジア・パシフィック地域、欧州・中東地域を承継。それを機に「日本の金融機関の中でも本格的なグローバル・ネットワーク」を持つ強みを活かし、アジアをマザーマーケットとして、日本と世界をつないでいくことを同グループは目標に掲げている。
(1)すべてはお客様のために(2)アジアに立脚(3)グローバル・ネットワーク(4)規律と企業家精神-が同グループのコーポレートメッセージを支える「4本の柱」だ。
野村グループが描くブランド・ストーリーおよびコーポレートメッセージを支える「4本の柱」は、同グループが歩んできた長い歴史と伝統に裏付けられている。
同グループには、創業者の野村徳七氏(2代目)が遺した「証券報国こそは野村証券の職域奉公の実体にして、あくまでもこれを貫徹すべく」(野村グループの存在意義)などの言葉が伝わっており、「創業の精神十カ条」として周知徹底されている。
たとえば「自己の利益よりも顧客の利益を先にす」(顧客第一の精神)という言葉は、野村徳七氏(初代)が野村グループの前身である野村商店を1872(明治5)年に創業して以来、掲げてきたものである。長い年月とともに創業の精神が結晶化されていく中で、これが「顧客とともに栄える」「すべてはお客様のために」と時代に合わせて読み替えられながら、同グループに脈々と伝わる「顧客第一の精神」の基本部分を形作ってきた。
また「十カ条」の中に、「君たちの将来には、世界の飛躍が待っている」(海外への雄飛)という言葉がある。2代目野村徳七氏は1908(明治41)年の欧米外遊の旅で現地の金融機関を見て「いつかは野村も彼らと対等に闘えるようになりたい」と日記に書いていた。くしくも、野村グループがリーマン・ブラザーズの部門承継を行ったのはその100年後。これにより、同グループが築き上げてきたグローバル・ネットワークが一段と強化され、世界で存分に戦える基盤が整いつつある。
04年、野村グループでは、創業の精神も踏まえて、コーポレートガバナンス(企業統治)およびCSR(企業の社会的責任)に関する事項について、社員一人一人が遵守すべき倫理規程を制定。それ以来、創業の精神と倫理規程が、今日の野村グループが拠って立つ基本原則になっている。
次回は「コンサルティング営業の深化」と題し、顧客の信頼とビジネスの拡大の両立を目指す同グループの取り組みをレポートする。
▽設立=1925(大正14)年12月
▽本店=東京都中央区日本橋1-9-1
▽資本金=5944.93億円
▽グループ最高経営責任者(CEO)=永井浩二氏
▽URL=http://www.nomura.com/jp/