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【野村HD研究】(2)顧客ニーズに合わせたプランを提案
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全営業担当者にタブレット端末を支給し、コンサルティング力を強化
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国内証券会社屈指の販売網を持つ野村証券が、営業改革に取り組んでいる。自社が持つ豊富な商品・サービスラインナップを、顧客のニーズに合わせていかに提案していくかという意味で、コンサルティング営業の質は、顧客の信頼とビジネス拡大の要。「すべてはお客様のために」を基本観とする野村グループの真価が問われる根本部分でもある。コンサルティング営業の深化に向けた、同社の取り組みを追った。
「営業の質を変える」-。
2012年8月に発足した野村グループ新経営体制の下で、営業部門最高経営責任者(CEO)に森田敏夫氏が就任し、従来から取り組んできた営業改革をより強化していこう、というメッセージが野村証券社内に発信された。
「営業部門が目指すべき方向と具体的戦略」としてまとめられた社内向け資料が作成されたのは翌年1月。そこには「お客様の信頼の獲得とビジネスの拡大の両立」をスローガンに掲げた経緯と、その実現のために同社が行う15の施策を明記。森田営業部門CEOをはじめとする役員および本社スタッフが、資料を持って全国の支店を訪れ、同社が進める営業改革の意義を、社員に説明して回った。
「具体的な戦略が打ち出されてから1年がたち、その考え方が全社に浸透してきており、社員の意識も変わってきています」と、営業企画部の三原秀治次長はいう。
1月30日に発表された2014年3月期第3四半期(10~12月期)決算で、営業部門は税引前利益が前年同期比135%増の477億円と大きく伸びた。第1~3四半期(13年4~12月期)累計では、1687億円(同3.9倍)に達し、グループ全体の税引き前利益2730億円の6割以上を稼ぎ出した。
顧客資産残高も、マーケット要因が追い風となり、過去最高の96兆円を記録。株高・円安の進行や活発な市場取引を背景に、株式や投資信託の募集買い付け金額が増加したことが好決算の要因。足元では好調な決算であるが、同社が取り組む営業改革の成果が今後の鍵を握る。
野村証券が進める営業部門の意識改革は「長い時間軸で、お客様のライフステージ、ライフプランに合ったサービス・商品を提案」できる体制づくりを主眼に置いている。
12年7月、同社は全営業担当者にタブレット端末を配布した。国内約160支店の全営業担当者らを中心に約8000台を導入。顧客先にいながら、最新の資料やパンフレットを閲覧できるほか、コンサルティング営業支援のためのさまざまなツールが用意されている。
たとえば、顧客のライフプランに合わせた運用計画を策定する「<野村>の資産設計」アプリでは、顧客と会話をしながらタブレット端末に情報を入力し、相続税の簡易試算などが可能。いきなり商品やサービスの話に入るのではなく、顧客の話に傾聴して必要な情報をヒアリングし、そこからニーズをくみ取る地道な作業を手助けしている。
また、13年1月に始まり、全国の支店で全5回シリーズで行われている「野村のハッピーライフセミナー」は第3巡目を実施しており、1年間で通算800回を突破した。1回目は野村証券のエンディングノート『マイライフノート』のコンセプトを紹介。2回目以降は、日常生活にまつわる「楽しみ」「住まい」「健康」「相続」「もしもの時」をテーマに、各分野の専門家が講義を行う。野村証券に来るだけで、趣味・教養や旅行など、シニア世代の関心が高いテーマの話が聞けるということもあり、参加者の評判は上々だ。「今まで野村証券に足を運んだことのないお客様に興味を持ってもらい、店頭に活気を持たせ、にぎわいをつくるための新たな顧客との接点」としての期待も大きい。
13年から実施している「お客様満足度調査上位営業担当者に対する表彰制度」もユニークだ。顧客に、はがきとメールでアンケート調査を実施。「今の担当者に満足していますか」「今の担当者を親族や友人に紹介したいと思いますか」という2つの質問に対する顧客の10段階評価を基に「顧客満足度スコア」を算出し、営業成績を加味したうえで、上位者を表彰し、同社ホームページでも対外的に発表している。社内的には「顧客から信頼を得ている人をきちんと評価する」というメッセージとなり、顧客サービスの向上につなげている。各支店の役職者が、部下の担当顧客を訪れて、担当者の普段の仕事ぶりについて耳を傾けるという取り組みも継続している。
また、投資信託も新商品を戦略的に絞り込み、既存商品の中から顧客のニーズに合わせて提案していくという営業スタイルをより深化させ、営業改革と商品戦略の整合性を高めた。
その中で野村証券は、世界的な市場調査およびコンサルティング会社であるJ.D.パワー アジア・パシフィックの「日本投資サービス顧客満足度調査」で12、13年と2年連続の“投資サービス満足度No.1<対面証券部門>”を受賞している。
同社では、顧客との息の長い付き合いを築き上げ、そこで培った信頼関係を家族や親族、友人へと広げる「ファミリー化」を営業の柱の一つに据えている。顧客との間に息の長い付き合いが確立されていれば、自身の相続問題や家族のライフイベントに関するニーズを自然に取り込むことができることになる。だがコンサルティング営業は、顧客のプライベートのより深い部分に触れる作業であるだけに、ハードルは非常に高い。
「こうした関係は、一朝一夕でできるわけではありません。お客様のことを全力で考えて信頼を獲得することができれば、自ずとビジネスは拡大していくはず。今まで以上にお客様に向き合い、商品やサービスの提案を行っていきたいです」と三原氏は語る。