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「32回転」vs「45回転」 スロージューサー新製品が相次ぐワケ
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食材を低速回転のスクリューで圧縮しながらすりつぶして調理できるスロージューサーの新製品が、国内で相次いで発売されている。高速ジューサーで作るより栄養素が豊富で、空気や搾りかすの混入が少ないため、口当たりがなめらかなのが特徴。新製品には、野菜や果物を凍らせたものを砕きシャーベット状にして楽しめる機能が追加されており、調理の幅が広がりそうだ。(織田淳嗣)
シャープが2月、大阪市内で発表したスロージューサー「ヘルシオ ジュースプレッソ」の新製品2機種。凍らせたトマトとクリームチーズを投入してスイッチを入れると、淡いピンク色のシャーベットが搾り出されてきた。
発表会ではこれをレタスにかけた料理などが紹介され、夏場には「前菜」として活用できそうだ。「『フローズンサラダ』という新しい概念を提案していきたい」と担当者はPRする。
新製品は4月1日に発売され、市場想定価格は税抜き3万3千~3万7千円前後。2機種で月産計6千台を予定している。
ジュースプレッソの初代は平成24年6月に発売。今回は3代目で、上位機種はフィルター部分に専用の臼(うす)を取り付けると、凍らせた野菜や果物を押しつぶしてシャーベット状にしたデザートを作れる機能を設けた。
“本業”のジュース作りは、スクリューが毎分32回転する「低速圧縮搾り」という方式で、食材の栄養素をなるべく壊さずに搾ることができる。カッター刃が毎分1万回転する従来の高速ジューサーと比べると、トマト100グラムを搾った場合、ジュースに含まれる水溶性食物繊維のペクチンの量は2倍という。
また、2代目は果汁を漉(こ)すフィルターとスクリューが一体になっていたが、3代目では2つを分離させ、搾りかすを取り除きやすいように改良された。
パナソニックも、同社では初めてとなるスロージューサー「ビタミンサーバー」を2月に発売した。スクリューは毎分45回転で、シャープ製品と同様に専用の臼を取り付け、シャーベットのようなフローズンスイーツを作れる。
ジュースや搾りかすを応用したレシピ53種類を掲載した小冊子を付け、市場想定価格は税抜き3万5千円。月産2千台を計画している。
また、首都圏を中心に展開する老舗の果物専門店「タカノフルーツパーラー」と連携。新宿本店(東京都新宿区)で来年3月までの1年間、ビタミンサーバーで作ったジュースが月替わりのメニューで販売される。
スロージューサーの新製品が相次いで投入される背景には、中高年を中心とした健康志向の高まりがある。シャープによると、国内のスロージューサーの出荷台数は23年度で5万台程度だったが、24年度は10万台を突破。25年度には18万台程度となった。
また、生鮮果実などを販売するドール(東京都千代田区)が25年、凍らせた果物を入れるだけで果物100%のシャーベットを作れる調理器を発売。人気を博したことも、電機メーカーのフローズンスイーツ分野への参入意欲を後押ししたようだ。
シャープによると、米国や中国、韓国ではスロージューサーの年間出荷台数が100万台以上という市場規模に成長。米国の都市部ではスロージューサーで作られた飲料はダイエットなどにも活用されているという。
生の野菜や果物をあまりかまずに味わえることから、国内でも今後、高齢化社会に対応した商品として需要が高まりそうだ。