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ベンチャー企業なのに“昭和風” 「勇者と魔王」など手がけるクローバーラボ

ニュースカテゴリ:暮らしの仕事・キャリア

ベンチャー企業なのに“昭和風” 「勇者と魔王」など手がけるクローバーラボ

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「クローバーラボ」のオフィスに設けられたバーカウンター  社内バー、社長席はバランスボール、柱と壁はホワイトボード…。大阪市にある交流ゲーム開発ベンチャー、クローバーラボの本社オフィスは、通常の企業では考えられない設備が整っている。社員間のコミュニケーション円滑化に役立っているというのだが-。

 社内バーで本音トーク

 大阪市北区の9階建てオフィスビル。クローバーラボはその5階に入居している。交流ゲーム大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が配信する「Mobage(モバゲー)」の人気ゲーム「勇者と魔王」などを手がける注目企業だ。

 約80坪(264平方メートル)のフロアを見渡すと、まず目につくのが、入り口脇の4人が座れるバーカウンターだ。

 「東京には『社内バー』がたくさんありますが、大阪ではまだ少ない。“本音”のコミュニケーションを図れる場所を社内に作りたかった」

 小山力也社長(33)はこう力説する。

 バーは午後7時の終業後に“オープン”。バーテンダーはいないが、社員それぞれが自ら酒を作って同僚に振る舞うのが慣例という。もちろん参加は自由だ。

 同社経営企画室の荻野侑さん(26)は「外に飲みにいっても2軒目は“会社”ということもよくあります」と笑う。

 設立からわずか4年という若い企業で社員もほとんどが20~30代。現在の社員は43人にまで増えたが、これまでに退職したのは寿退社を含めて4人にとどまる。移り変わりの激しいベンチャー企業では、異例の少なさだろう。

 社内バーが、社員の結束を高める一因となっているのは間違いなさそうだ。

 壁がホワイトボード

 フロア内の太い柱や会議室の壁には、落書きのような細かい字が書き込まれているが、実はホワイトボードで簡単に消したり、書いたりできる。

 小山社長は「もともと、どこでも話し合いができるように設置しました。可視化すれば、自然とイベント管理などもスムーズになった」と説明する。

 同社は23年12月に現在の場所に移転したが、椅子が足りなかったため、小山社長は自分の席をバランスボールで間に合わせ、今も使っている。

 「もちろん座っていると辛いですが、仕事を早く終わらせようという気持ちになるので、効率化できる」とか。

 同社は平成24年2月にゲーム「キャッスルブレイク」がヒットしたのを機に、下請けを脱し、オリジナルゲーム事業に一本化した。

 今秋には、同じビルの上層階に転居する予定だが、小山社長は相変わらずバランスボールに座る予定という。

 気持ちは昭和風

 同社の社名は「四つ葉のクローバー」が由来で、社員の椅子や柱、内壁は緑と白で統一されている。

 社の行動指針も四つ葉クローバーの一つ一つの小葉が象徴する「希望」「幸福」「愛情」「誠実」を掲げるほどのこだわりで、社会を豊かにすることを目指している。

 「終身雇用」を目標にしていることもベンチャー企業では異例。入社時に、60歳で退職金を1000万円支払うことを約束し、毎月掛け金をかけている。採用方針も即戦力のプロフェッショナルを他社から引き抜くより、若者をプロパーで育成することに力を入れている。

 会社設立前、小山社長は神戸市内のソフトウエア開発会社で常務だった。しかし、従業員の一部が労働環境の悪化を理由に外部の労働組合に参加、会社相手に訴訟を起こそうとするトラブルがあり、それが自ら会社を設立する際の教訓になった。

 昭和風のユニークなベンチャー企業が今後どう成長するのか、楽しみだ。(織田淳嗣)

◇会社データ◇

本 社=大阪市北区豊崎5丁目6-2北梅田大宮ビル

設 立=平成21年7月

事業内容=交流ゲーム、ウェブコンテンツの企画・開発・運営

売上高=2億5375万円(平成24年6月期)

従業員数=43人

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