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音を愛する富士通テンの企業風土 社員食堂がライブハウスに変身

ニュースカテゴリ:暮らしの仕事・キャリア

音を愛する富士通テンの企業風土 社員食堂がライブハウスに変身

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富士通テンのライブハウス(上)は本格的な照明設備などを備え、社員食堂(下)が40分ほどで大変身する  カーナビなど車載機器メーカー、富士通テンは、本社(神戸市兵庫区)内にある社員食堂が年に2回、ライブハウスへと姿を変える。音楽好きの従業員が中心となり、「社内でも演奏したい」と要望したことがきっかけで実現した。車載用の音響機器製造で創業して以来、脈々と受け継がれている従業員の「音」と「音楽」に対する愛情やこだわりが結実している。ライブ照明まで備えた本格派だ。

 40分で早変わり

 社員食堂がある建物は昭和51年に完成。当初食堂は2階部分だけで、1階は修理などを担当するサービス部門の事務所だった。しかし、自動車産業の伸びに合わせて富士通テンの車載製品も急成長。本社で働く従業員が増えたことで、平成17年に1階も食堂に改装することとなった。

 それまで2階食堂では夏の納涼祭と10月の創立記念日に従業員向けのイベントを行っていたが、さすがに車載音響機器メーカーとあってか、バンドなど音楽活動をしている従業員が多く、「コンサートを開きたい」という要望が多く出たという。

 こうして1階の改装に、ライブハウス仕様を追加することに。屋根には照明器具やスピーカーが設置され、楽器の音を調節するアンプも整備された。

 普段は社員食堂として使用しているが、年2回のコンサート時は、厨房部分にシャッターを下ろした上で暗幕をかけ、簡易の舞台を設置するとライブハウスに早変わり。作業にかかる時間は40分程度という。

 練習スタジオ併設

 コンサートは毎回、5、6組が出演し、数曲ずつ演奏する。ロックやジャズのバンドがあれば、ギターを抱えた1人での弾き語り、アカペラグループなど、ジャンル、顔ぶれともに多彩。用意した500席はいつも満席になり、立ち見が出るほど盛況だ。

 イベントを担当する阿部清文総務部長は「音楽好きの従業員が多く、レベルはかなり高い。仕事中とは違う上司や部下の意外な一面を見ることができるのも好評」と話す。

 また、食堂の横には音楽の練習スタジオが2室設けられている。もともと会議用で、現在も就業時間中は会議室として使うが、昼休みや就業時間後、休日などは音楽の練習用に開放している。ギターやキーボード、ドラムなどの楽器が使えるため、常に予約でいっぱいだという。

 この練習スタジオでも月に1回、従業員有志によるミニライブが行われ、小規模コンサートも楽しめる。

 ビッグバンド誕生

 富士通テンは創立30周年を受け、平成15年から音楽による社会貢献を目指す「音文化創造活動」を展開している。

 本社内にあるレコーディングスタジオを利用して若手ミュージシャンの自主出版(インディーズ)CDの制作支援や、従業員や国内外の一流ミュージシャンらが講師を務める音楽教室を実施。神戸の音楽情報を紹介するホームページの運営、音楽療法を取り入れている福祉施設への楽器の寄付なども続けている。

 イベントやミニライブでの演奏活動の交流を通じ、従業員約30人による「富士通テンビッグバンド」も結成された。演奏レベルは高く、兵庫県内のイベントで引っ張りだこ。社内で育った音楽活動が社外へ飛び出し、会社のPRに貢献しているのだ。

 阿部総務部長は「社員食堂をライブハウスにするのは、従業員の働きがいを高める目的で決断したことだが、地域への貢献にもつながっており、会社としてもありがたい。音へのこだわりを、今後も大切にしていきたい」と話す。富士通テンの社員が紡ぐサウンドはさらに広がっていきそうだ。

(藤原直樹)

◇会社データ◇

 本社=神戸市兵庫区御所通1-2-28

 設立=昭和47年10月25日

 資本金=53億円

 事業内容=カーオーディオ、カーナビ、自動車用電子機器製造

 売上高=2464億円(平成25年3月期連結)

 従業員数=1万232人(平成25年3月末現在)

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