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「RSウイルス」警戒の季節 せきと鼻づまりは要治療

ニュースカテゴリ:暮らしの健康

「RSウイルス」警戒の季節 せきと鼻づまりは要治療

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 大人では鼻水やせきといった風邪の症状を引き起こし、乳幼児では重症化する可能性もあるRSウイルス感染症。晩秋からが流行の本番だったが、過去3年は9月から患者数が増加しており、これからの季節、注意が必要だ。(日野稚子)

 突然死の事例も

 「RSウイルスには2歳までに感染するといわれている。逆に言えば、百パーセント感染を免れることはできない」と話すのは、日本小児科医会理事で自然堂峯小児科(さいたま市岩槻区)理事長、峯真人医師だ。

 RSウイルスの感染経路は接触感染と飛沫(ひまつ)感染の2つ。RSウイルスが付着した服やドアノブなどに触ったり、鼻水やたんに含まれるRSウイルスを吸い込んだりして感染する。一般的な風邪症状を起こすウイルスだ。

 乳幼児では平均4、5日の潜伏期間後、発熱(38~39度)や鼻水、せきなどの症状を起こし、治まるまで最長2週間かかる。気管支炎や肺炎など下気道炎、無呼吸症状を引き起こしやすいのも特徴だ。海外調査では、1歳までに70%、2歳までに全員が感染。初感染の乳幼児の25~40%が下気道炎になり、0・5~2%が重症化のため、入院するとの報告がある。

 生後6カ月以内の乳児や早産児(在胎期間35週以下)、気管支肺異形成症や先天性心疾患、ダウン症などの基礎疾患がある場合、重症化しやすい。こうした「ハイリスク乳児」には抗体製剤が保険適応となる。

 峯医師は今月、生後数カ月の乳児をRSウイルス感染症と診断した。乳児は鼻の調子が少しおかしく、朝のミルクを飲んだ後も顔色が少し悪い程度だった。「数時間後に突然、無呼吸症状に陥った、と運ばれてきた。RSウイルス感染症は発熱やせきが必ず出るとは限らず、分かりやすい症状がないまま重症化することもある」。乳幼児突然死症候群の死亡事例でRSウイルス感染が確認されることもあり、乳幼児の体調急変や突然死の原因としても考えられている。

 手洗い、うがい励行

 基礎疾患がない場合、少し具合が良くない乳児を病院に連れて行く判断は、いつすべきなのか。

 乳児は口呼吸ができないことを踏まえ、峯医師は鼻づまりを起こしたら医療機関での受診を勧める。「医師の立場から見ると、鼻水やくしゃみはさほど問題はないが、せきと鼻づまりは要治療状態と判断する」。呼吸が浅くて回数が多かったり、ゼイゼイ息をしたりすると下気道炎の可能性がある。機嫌が悪い▽ミルクが飲めなかったり飲んでもすぐにぐずって起きてしまう▽夜、眠ってくれない-などの場合も医師の診察を受けた方がいい。

 ワクチンがないRSウイルス。家族ができることは、手洗い、うがいの習慣化▽風邪をひいている家族はマスクを着用し、乳幼児に近寄らない▽風邪の人との接触をできるだけ控える-を心掛ける。また、知らぬ間に感染源とならないためにも、乳幼児のいる家庭を訪問したり、乳幼児を抱いたりする機会を得た人も家族同様の気遣いをする。促されることがなくても、手洗いやうがいを行うのが乳幼児の健康に対する配慮だ。

 物に付着したRSウイルスは4~7時間は感染力があるため、乳幼児が触れる物や場所をアルコール消毒するのも有効だ。

 ■集団生活で罹患率アップ

 RSウイルス感染症で、基礎疾患のない乳幼児の重症化原因として挙げられているのが、兄弟姉妹の存在、保育施設の利用、家族の喫煙、母乳期間が短いなどだ。乳児期から保育施設を利用する家庭も増え、集団生活を通じての感染事例も多い。

 2歳未満乳幼児の母親1030人(保育施設利用者515人)に行った乳幼児の健康などに関する意識調査(アッヴィ合同会社、東京都港区)によると、RSウイルス感染症と診断を受けたのは全体の9.2%。非利用者の5.4%に対し、利用者は13.6%と、2.52倍だった。感染予防につながる手洗いを実践していたのは全体の26.2%にとどまった。峯真人医師は「RSウイルス感染症は一度で完全な免疫は得られず、何度も罹患(りかん)する子供もいる。集団生活をしている以上、ウイルスにさらされると理解すべきだ」と話している。

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