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国際
【台風30号比直撃】被災地支援 自衛隊ヘリ 離島へ物資輸送開始
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フィリピンの台風被災地で活動する自衛隊の国際緊急援助隊は11月25日、日本から現地入りした艦船に搭載したヘリコプターを使い、陸や海からの輸送が難しい離島への救援物資の空輸を始めた。
台風発生から2週間以上がたち、被害が集中した中部レイテ島タクロバンの飛行場には、自衛隊も含めた各国の大型輸送機が救援物資や機材を送り込み、十分な量が確保されつつある。
だが、支援を必要とする離島などの被災地は、道路の寸断や港の破壊で今も孤立化し、物資の不足が深刻なままだ。タクロバンからこれらの被災集落へいかに物資を分配するかが大きな課題になっており、自衛隊のヘリコプターは「即戦力になる」(フィリピン軍幹部)と期待されている。
タクロバン空港には25日午前10時半ごろ、レイテ湾に停泊中の輸送艦「おおすみ」から飛び立った2機の多用途ヘリコプターUH1が着陸。現地で待ち構えていた隊員とともに、滑走路近くに積み上げられていた米国からの救援物資を積み込み、タクロバンの南東約80キロに浮かぶ離島のホモンホン島に輸送した。
ヘリの佐藤孝文機長(46)はホモンホン島について「上空からでも家屋の散在が確認できた。現在もヘリでしか物資を送り込めない状況だ」と話した。
フィリピンの国家災害対策本部が25日に発表した台風30号による死者数は5235人、行方不明者は1613人となった。(フィリピン中部・タクロバン 吉村英輝/SANKEI EXPRESS)
≪東日本大震災の経験、生かして欲しい フィリピン軍・司令官≫
台風30号の被災地対応を指揮するフィリピン中央軍のロイ・デベラトルダ司令官が産経新聞の取材に応じ、日本の自衛隊による支援活動について、「(東日本大震災など)災害対応の経験を生かしてほしい」と期待を込めた。主なやりとりは以下の通り。
――被災地の救援状況は
「食料や水の配布、けが人への対応などはほぼ行き渡った。市場が開くなど、生活も正常化している。今後の活動は、電気の復旧や伝染病予防、ガレキの廃棄場所確保や仮設住宅建設、産業基盤の復旧といった第2段階に入ってきている」
――自衛隊は過去最大規模の体制で支援にあたる
「これまで経験したことがない大規模な台風被害で、自国だけの対応能力には限界がある。日本のヘリコプターやトラックは即戦力となる。同時に、東日本大震災などを経験してきた自衛隊には、物資の配給ノウハウなど、被災地支援のソフト面での協力にも期待している」
――第二次世界大戦の歴史から、自衛隊の大規模投入を懸念する声もある
「フィリピン人は寛大だ。大切なのは過去から学ぶこと。実際に両国は戦後、友好な関係を築いてきた。自衛隊の災害支援により、そのきずなはより深まるはずだ」
――フィリピンと南シナ海の領有権を争う中国国内では、支援に反対する声もあがっている
「16カ国が軍関係機関を投入し、協調して支援体制を組んでいる。他の機関も含めれば援助国数はさらに増える。このような災害対応は、人類愛から行われるべきで、政治問題化すべきではない。今後、他国で同様の災害が発生すれば、私は真っ先に駆けつける1人となるだろう」(吉村英輝/SANKEI EXPRESS)
≪中国病院船が始動≫
台風30号の被災者支援のため中国海軍が派遣し、11月24日に被災地のフィリピン中部レイテ島タクロバン沖に到着した病院船が医療支援を開始した。在フィリピンの中国大使館が25日明らかにした。
大使館によると、病院船はCTスキャンなどの高度な医療設備を備えており、数人の重症患者を運び入れた。船は大型で港に入れず、沖合に停泊。被災地に診療所を設け、追加の治療が必要な患者を船に運ぶ態勢を取るという。(共同/SANKEI EXPRESS)