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【震災1000日】「帰れないのでは…」 不安晴れず

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【震災1000日】「帰れないのでは…」 不安晴れず

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 東京電力福島第1原発事故との闘いは、震災から1000日を経てもなお続いている。政府は避難住民の早期帰還を目指し、現実路線へかじを切ったが、除染完了は見通せない。節目の日を迎え、福島では先の見えない不安に包まれたままだ。

 東京電力福島第1原発の周辺に位置する福島県の自治体では、事故後から続く立ち入り制限が解除される見通しも立たないまま3度目の冬を迎えた。避難を余儀なくされた住民の間には「家に帰れないのでは…」と、あきらめムードも漂い始めている。

 福島の浜通りを南北に貫く国道6号は、原発事故の収束作業に欠かせない幹線道路。除染や原発に向かう作業員らを乗せたバスやワゴン、トラックなどが行き交う。一時帰宅する住民の通行も増えた。

 しかし、沿道には異様な風景が広がる。浪江町と大熊町では国道に面した家と商店の入り口すべてにバリケードが設置されていた。高線量地域への安易な立ち入りや空き巣被害などを防ぐのが目的だ。国道から住宅街へ入る道路にもゲートがあった。

 ≪朽ちていく町 月日だけが流れていく≫

 浪江町は休日でも人影がなかった。崩れたままの塀、雑草に覆われた公園の遊具…。「ガシャーン、ガシャーン」。商店の壊れたシャッターが風にあおられ不気味な音を立てる。線量が比較的低いとされる「避難指示解除準備区域」の中心街でも人の背丈ほどの雑草が茂り、「あれから1000日」を実感する。

 福島市の避難先から1日だけ戻ってきた運転手の原田宣男さん(57)は、自宅前で道路の草刈りをしていた。高くなった草で車が傷むという。まだ、水道も通っていない。「規制が解除されても町は元通りにならない」と、あきらめ顔だが「自宅に戻って植木いじりや日曜大工を楽しみたい」と話す。

 「居住制限区域」の大熊町大川原地区。避難先の山形市から一時帰宅した横田嘉政さん(68)は「除染しても家の西側に山がある。流れてくる雨水や落ち葉などで、すぐ放射線量が高くなるのでは」と不安を隠せない。

 家屋の地震被害は少なかったが、家の前に立つと警報値を毎時2.5マイクロシーベルトに設定した線量計が鳴る。除染で出た土や植物を入れた袋から出る放射線だ。「自分の地区の線量が下がり家に戻れても、町全体が再生しないと暮らせない」と、訴えた横田さんは「(今の状態では)帰れると言われても帰れない…」と肩を落とした。(写真・文:写真報道局 早坂洋祐、松本健吾/SANKEI EXPRESS

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