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スノーデン容疑者、ついに勝利宣言 「任務達成した」英TVで監視社会到来を警告

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スノーデン容疑者、ついに勝利宣言 「任務達成した」英TVで監視社会到来を警告

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 英テレビ局チャンネル4は、米政府による電話やインターネットの情報監視活動を暴露し、現在、ロシア滞在中の米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者(30)が、監視活動の中止を求める「クリスマスメッセージ」の動画をウェブサイト上で公開した。スノーデン容疑者のテレビ出演はロシア亡命後初めて。メッセージでは、ネット時代における政府の監視活動は極めて高度で、個人のプライバシーの維持が困難になると指摘し、未来小説に描かれた監視社会の到来を警告している。動画は12月25日午後4時15分(英時間)からテレビ放映される。

 ロシア亡命後初出演

 チャンネル4や英紙ガーディアン(いずれも電子版)などによると、動画は1分43秒で、彼の暴露問題に絡み親しい関係となった人権派の米映像作家、ローラ・ポイトラス氏(51)がロシアで撮影した。

 スノーデン容疑者は黒のジャケットに薄いピンク色のシャツという姿で登場。まず、英作家ジョージ・オーウェル(1903~50年)が1948年に執筆した傑作SF小説「1984年」で描いた監視社会が実際に到来する危険性について触れた。

 「この小説では、マイクやビデオカメラ、そして、われわれが見ているテレビが情報監視の対象だったが、いまわれわれは、常に居場所の追跡が可能な(携帯電話のような)機器をポケットに入れている」と指摘。現代の情報収集の技術や方法について、「この小説の時代とは比較にならない」としたうえで、「これが一般人のプライバシーにとって何を意味するか考えるべきだ。現代の子供たちはプライバシーの概念を全く知らずに成長し、(個人情報の)記録・分析が行われないプライベートな瞬間というものを決して知ることはないだろう」と懸念を表明した。

 さらに「こうした問題は、われわれを取り巻くテクノロジーや政府に対する人々の信頼を左右する」と述べ、「国民は両者の良きバランスを見付けるとともに、国家による大量監視をやめさせねばならない。国民がどう感じているかを本当に知りたければ、スパイ行為ではなく、ただ国民に尋ねればいいのだ、ということを国家は気づくべきだ」と強調した。

 スノーデン容疑者は全く表情を変えず淡々と語りかけ、笑顔を見せないまま「メリークリスマス」と締めくくった。

 社会が決断する機会

 一方、スノーデン容疑者は、12月24日付米紙ワシントン・ポストとのインタビューで、今回の一連の暴露について「私にとって、個人的な満足感という点では、任務はすでに達成した。社会を変えたかったわけではなく、社会が変わろうとすべきかどうか、自ら決める機会を与えたかった」などと語り、事実上の“勝利宣言”をした。

 チャンネル4は1993年から毎年、独自に「時の人」を選び、恒例のエリザベス女王のものとは別の「もう一つのクリスマスメッセージ」を放映している。初年度にはゲイ活動家の作家、クエンティン・クリスプ氏(1908~99年)が登場。2008年にはイランのマフムード・アフマディネジャド前大統領(57)がキリスト教を揶揄(やゆ)して物議を醸している。(SANKEI EXPRESS

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