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安倍首相のイニシアチブで信頼深まる

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安倍首相のイニシアチブで信頼深まる

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 【佐藤優の地球を斬る】

 ロシアのサンクトペテルブルクで9月5日、日露首脳会談が行われた。ペスコフ露大統領報道官は、<安倍晋三首相とプーチン大統領が、北方領土問題について「引き分け」の精神で解決を図ることで一致したと述べた。

 報道官は「引き分け」は柔道家のプーチン氏になじみの深い言葉と述べ、「勝ち負けのない」結果を示すと説明した>(9月6日付の共同通信)。

 これだけでは、4月29日にモスクワで行われた日露首脳会談の内容を確認したにすぎず、特に進展はないように見える。しかし、そうではない。両首脳は11月1、2日に東京で両国の外相・防衛相による「2+2会合」を行うことについて合意した。日露首脳会談の冒頭でのやりとりがクレムリン(露大統領府)の公式ウエブサイトに掲載されている(http://www.kremlin.ru/news/19157)。真理は細部に宿るので、ロシア語から全文を翻訳しておく。

 露国防相・外相が東京訪問

 <プーチン:総理、尊敬する友人の皆さん! サンクトペテルブルクにようこそと心から皆さまに歓迎の意を表明することをお許し下さい。私たちが継続的に接触し、その結果、貿易経済関係が発展していることを歓迎します。貿易量も、世界経済がさまざまな困難に直面している中で、毎年、成長しています。相互の投資量も増大しており、日本側からロシア経済にすでに100億米ドルを超える投資がなされています。さまざまな分野におけるわれわれの相互的な協力が深化しています。

 われわれは、ロシアと日本の間に新たな協力形態を構築することを意図しています。あなたのイニシアチブで、今年11月初めに2人の閣僚が東京を訪問することになります。国防相と外相です。このような形態が、われわれの関係の発展に貢献し、われわれの信頼の水準を引き上げると確信しています。

 安倍(翻訳のまま):あなたの故郷、美しい都市サンクトペテルブルクでわれわれが再び会うことができ、私はとてもうれしいです。今年4月にあなたの国を訪れてから、ロックアーンでの会見(引用者注*6月に英国・北アイルランドで行われたG8サミット)から、これが首脳レベルでの3回目の会見になります。

 アムール川で洪水が起き、それが大きな被害をもたらしたことに心からお見舞い申し上げます。あなたのリーダーシップで、速やかな復興がなされることを私は心から望んでいます。

 本日ここに、私が信頼するわれわれの副総理麻生(太郎財務相)が同席しています。今晩、あなたのお許しを得て、わたしは「G20」を中座し、ブエノスアイレスに向かわなくてはなりません。麻生氏が私に代わって「G20」の行事に参加します。

 私は2014年ソチの冬季オリンピックにおけるロシアの成功を願っております。

 両国が良好なテンポで政治対話を進めていることは素晴らしいと思っています。その関係で、ラブロフ氏が外相として日本に11月1、2日に来られることをとてもうれしく思います>

 日本のリスク負担を認識

 ここで重要なのは、プーチン大統領が、外務・防衛相会合について安倍総理に「あなたのイニシアチブで(Po Vashei initsiative)」と述べていることだ。ここには深い意味が込められている。元CIA(米中央情報局)職員のスノーデン氏の亡命をロシアが受け入れたこと、さらにシリア情勢をめぐって、米露関係はかなり緊張している。日本は米国の同盟国だ。そのような状況で、日本がロシアと、外交だけでなく防衛・安全保障面でも高いレベルの対話を開始したことには、米国と軋轢(あつれき)が生じるリスクを負ってでも安倍首相がロシアとの戦略的提携関係を強化する意志を表明したと、プーチン大統領は受け止めている。これで安倍・プーチンの信頼関係は飛躍的に高まったと筆者は見ている。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優/SANKEI EXPRESS

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