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きょうからシリア和平会議 イラン参加要請を撤回 早くも迷走
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シリア内戦をめぐる構図<シリア和平国際会議>=2014年1月21日現在 ≪政権と反体制側が初の対話≫
内戦が深刻化しているシリアの和平を目指す国際会議が1月22日からスイス西部モントルーで始まる。アサド政権と反体制派の双方が直接交渉のテーブルに着くのは、2011年の反体制運動の本格化以降、初めて。一部地域での限定的な停戦で合意できるかどうかが焦点。全土での停戦と内戦の政治解決に向けた対話の一歩となることが期待されている。
会議は国連の潘基文(バン・ギブン)事務総長が主催。ケリー米国務長官やロシアのラブロフ外相をはじめ、安全保障理事会5常任理事国、トルコやヨルダンなどシリア近隣国や日本を含む約40カ国・地域の外相らが参加する。
反体制派の統一組織「シリア国民連合」の代表とともに、アサド政権からはムアレム外相が出席する。政治解決を拒否する反体制派の国際テロ組織アルカーイダ系武装勢力は不参加。
限定的な停戦は、会議を主導する米国とロシアが提唱した。激しい戦闘が続く北部の中心都市アレッポで実施することを目指しており、アサド政権側もアレッポでの停戦計画があるとしている。
5常任理事国やシリア近隣国は12年6月、ジュネーブの国際会議でシリア移行政府樹立で一致。だが、今回の会議で移行政府の議論がどこまで進むのかは不透明だ。
アサド大統領は最近のインタビューで自身の退陣論を一蹴、政権の後ろ盾であるロシアもアサド氏を支援する姿勢を鮮明にしている。
潘事務総長は、アサド政権と盟友関係にあるイランにもいったん参加を求めたが、国民連合などが反発、撤回した。
日本からは岸田文雄外相が出席。23日の休会日を挟み、24日からジュネーブに舞台を移し国連の仲介で政権と反体制派の本格協議が行われる。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪イラン参加要請を撤回 早くも迷走≫
国連の潘基文事務総長は1月20日、スイスで22日から開かれるシリア和平国際会議へのイランに対する参加要請を撤回した。ネザーキー事務総長報道官が発表した。参加要請の発表から24時間足らず。迷走の背景には、アサド政権支持のイランを批判する米国や反体制派の反発と、それにより会議自体が破綻するとの危機感があった。
イランは20日、昨年(2013年)11月の核問題をめぐる合意の履行を開始し、米国もイラン制裁の緩和に向けた手続きに入ったばかり。核問題では歩み寄りを始めた米国とイランは、シリア問題で溝を埋めることができなかった。
20日午後、突然設定された会見でネザーキー氏は、シリア移行政府樹立を定めた2012年のジュネーブ合意が和平会議の基礎なのに、イランがそれを認めないと公式表明したことを撤回理由に挙げた。
潘氏は正式な参加要請前に、イランのザリフ外相らと電話協議。「和平会議は合意を基本とし移行政府を目指すもの」との考えに同意するとの言葉があったため、潘氏は参加要請に踏み切った。
米国は「ジュネーブ合意を支持しなければイランは参加できない」との立場。イランが合意を認めると公式に表明すれば、参加に反対しないはずだったが、イランは合意を認めない姿勢を維持。潘氏ははしごを外された。
反体制派「シリア国民連合」もイランへの参加要請に反発して会議不参加を示唆。イランは重要な関係国だが、反体制派は和平会議でアサド政権と協議する当事者。反体制派を欠席に追い込めば、会議の意味は失われるため、イランの参加にこだわる理由はなくなった。
結局、参加要請が撤回されたことについて米国務省は歓迎の声明を発表、国民連合も歓迎し、会議への参加を確認した。これに対して、イランの参加を求めていたロシアのラブロフ外相は、撤回は間違いだと批判した。(共同/SANKEI EXPRESS)