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【エコノナビ】本田選手の野心に刺激

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【エコノナビ】本田選手の野心に刺激

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サッカー・イタリア1部リーグ(セリエA)の名門ACミラン  今月(1月)8日、イタリアプロサッカーリーグ、セリアAのACミランに移籍した本田圭佑(けいすけ)選手の入団会見を見て「カッコイイ」と思った人は多かったのではないか。とつとつとした英語ながら、明快で分かりやすい。記者らにも「ただものではない」と思わせるに十分な内容だった。

 特に、なぜACミランを選んだのかとの質問に対する「心の中のリトル本田にきいた。どこでプレーしたいかと。そうしたら、ミランでプレーしろということだった」との答えは、人をひきつけるウイットに富んでいた。

 また、本田選手はセリアAでプレーすることが子供のころからの夢で、小学生のときの作文に書いていた。

 そんな本田選手を表す的確な言葉として、「アニマル・スピリット」が思い浮かんだ。もともと英国の経済学者、ケインズが使って有名になった言葉で、「野心的な意欲」などと訳されている。不確定要素があっても起業したり、投資したりする企業家の挑戦が経済発展に不可欠だという考えを説明するためにこの言葉を使った。2008年から海外に渡り、プレーを続けてきた本田選手からは、旺盛な「起業家精神」が伝わってくる。

 バブル崩壊後、日本は経済の悪化が政治を弱くし、さらに外交力まで弱体化させる負のスパイラルに陥った。そのために日本人の多くが自信をなくし、内向き志向になってしまった。この日、本田選手を見て自らのアニマル・スピリットを鼓舞した人も少なくないに違いない。

 米国経済が持ち直し、安倍晋三政権の経済政策もあって日本企業の経営者らにもようやく新たな投資意欲が芽生えだした。ソフトバンクによる米携帯電話会社のスプリントの買収、サントリーホールディングス(HD)による米蒸留酒最大手ビームの買収などが報じられている。

 そうした流れをさらに加速できるか。鍵は若者だ。今、2015年春卒業の大学生らの就職活動がたけなわだ。アニマル・スピリットに目覚めた若者らがさまざまな分野で活躍することを期待したい。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS

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