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絶品 お得な西京漬けランチ 京都一の傳
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伝統の西京みそ漬けの魅力を生かしたランチメニュー
京都の伝統料理のひとつとされる「西京(さいきょう)漬け」。その専門店が京の台所、錦市場近くで構える「京都一の傳(でん)」は連日、予約で埋まる人気だ。京町家の雰囲気が漂う店内で、あえてランチに絞り、細部にわたり気配りされた料理を味わう。スタッフの笑顔に満ちた空間と相まって、店舗のパンフレットに載る「口の中で、京都がとろける」というフレーズにふさわしい食のひとときを満喫させてくれた。
年間を通じ、観光客らで押すな押すなの盛況ぶりをみせる錦市場。そこから柳馬場通を北上すると、いかにも京都らしい昔ながらの閑静な街並みが広がる。
その通り沿いにたたずむ町家風の外観の店舗ののれんをくぐる。1階は看板商品の西京漬けなどを販売するコーナーで、看板商品の西京漬けをその日の総菜用として買い求める地元の京都人や、贈答用として購入する観光客でごった返している。というわけで食事を楽しむ2階に案内された。
食事スペースは、テーブルや掘りごたつの席がゆったり配され、和を基調とした落ち着いた個室も。それぞれの部屋を彩る生花や日本画などの調度品も見逃せない。食事が運ばれてくるまでの時空間を盛り上げること請け合いだ。
彩り豊かで、季節の香り漂う前菜の盛り合わせが並ぶ。小カブのとろ湯葉掛け、千枚漬けずしなどが一口サイズで上品に飾られ、京都の“旬”を目、舌ともに丸のみできる。
続く大根煮もなかなかだ。冬場の霜や冷温で甘みが増した京都産の大根を、だしをたっぷり浸み込ませた定番メニューは、静閑としたこの時期の京都を感じさせてくれる。
メーンはもちろん、創業80余年の伝統技術を生かした西京漬け。一切れずつ丹念に仕上げた寒ブリの「蔵みそ焼き」は、表面の照りやふっくら感を見るだけで上質な食感が伝わってくるようだ。魚の生臭さはまったくなく、まるで高級な和牛のごとき味わい。一卓ずつ土釜で炊き込み、ふっくら仕上げた熱々ご飯に運ぶ箸のペースもどんどん進む。
この時期ならではのかす汁も、ふっくらご飯とマッチして滋味深い。のどごしも滑らかで“ごちそうさん”のムードを醸す。
川合剛史店長は「とにかくお客さまの目線で、すべてをご用意できるよう心がけています。価格以上の内容で、みなさんに満足してもらえるよう日々、頑張っています」と話す。
開店時から川合店長とタッグを組む山岸隆博料理長も人気店という評判におごらず、素材のうまみを引き出すのに奮闘する毎日だ。
「いい素材を調理できる環境で仕事ができるうえ、スタッフにも恵まれている。素材のうまみをさらに生かし、さらに満足していただける料理を考案したい」(山岸料理長)
言葉少なだが、料理以外に茶道、花道、書道も師範の腕前というだけあって、製造現場の心意気をそのまま調理に生かす工夫を欠かさない。
実は、出された西京漬けの数々はお酒のアテにピッタリ。ランチだけでなく夜も営業すればいいと思うのだが、こちらは西京漬けの素晴らしさを広く知ってもらおうとして開店した、いわばアンテナショップ。実は主力は通販なのだそうで「こちらで儲けようなんては考えていません」(川合店長)。
これも京都ならではの“粋”なのか? それでも地元の京都人や観光客から愛される人気店であることは間違いない。(文:西村力/撮影:恵守乾/SANKEI EXPRESS)