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北陸新幹線談合 業者「赤字の恐れあった」 工期遅れ懸念 機構側から「天の声」

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北陸新幹線談合 業者「赤字の恐れあった」 工期遅れ懸念 機構側から「天の声」

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北陸新幹線設備工事談合の構図=2014年2月4日現在  北陸新幹線の融雪設備工事をめぐる談合事件で、入札に参加した設備工事会社が、東京地検特捜部などの調べに「材料費が高くてもうけがなかった。赤字になる恐れもあった」などと話していることが2月4日、関係者への取材で分かった。

 特捜部は4日、独占禁止法違反容疑で、工事発注元の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」東京支社(東京都港区)など関係先を家宅捜索。特捜部は利益を確保するため談合で均等に事業を割り振っていたとみて、押収した資料の分析を進める。

 関係者によると、業者十数社は、機構が2011年3月~12年11月にかけて発注した線路周辺の雪を溶かすパネルを設置する事業など計13件の競争入札で、入札価格を申し合わせるなどした疑いが持たれている。

 鉄道の融雪パネルは、安定的に資材を大量提供できる業者が国内に1社しかなく、仕入れ値が下がりにくい。東日本大震災後の人件費上昇もありパネルの設置費用は高止まりしており、談合に参加した業者の関係者は「利益が発生しづらい事業。赤字になる恐れもあった」などと話している。

 また、機構東京支社担当者は、特捜部などの調べに「(14年度末の)北陸新幹線開業に間に合わせたかった」と供述し、予定価格を業者側に漏らしたことを認めている。入札不調で工事が遅れることを懸念して談合を主導していたとみられ、特捜部は官製談合防止法違反容疑でも捜査を進める。

 ≪工期遅れ懸念 機構側から「天の声」≫

 北陸新幹線の融雪設備工事をめぐる談合事件で、東京地検特捜部などは2月4日、国土交通省所管の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」や設備工事業者など、関係先の家宅捜索に乗り出した。大型公共事業をめぐり、利益を確保したい業者側と、入札不調で工事を遅らせたくない機構側。官と業がもたれ合う旧態依然とした官製談合の構造が浮かんだ。

 中華料理店で「密談」

 2011年9月。東京・日本橋の高級中華料理店に、十数人のスーツ姿の男が集まった。男たちは設備工事業者の担当者。談合を取り仕切る「幹事社」を務めた高砂熱学工業(東京都千代田区)、新日本空調(東京都中央区)、ダイダン(大阪市)の3社の号令で一堂に会していた。

 料理に舌鼓を打ちながらの会合では、機構が既に公告していた工事の落札者を決定。それ以降の事業についても、次々と落札者を決めていった。

 入札には一定の技術力を持つ業者のみが参加できる「条件付き一般競争入札」が採用されており、ある業界関係者は「いわば設備工事業者のムラが形成されていた。自然と談合で利益を確保する意識が芽生えたのだろう」と断言する。

 その後、密談で決まった落札予定業者は、機構の職員に自社内部で作成した工事の見積額を提示。機構職員は「少し違う」「開きが大きい」「もう少し下」などとほのめかす形で、予定価格を伝えていたという。

 こうしたやりとりが何度か重ねられた上で、落札予定業者が“推察”した予定価格を他社に伝達。実際の入札の際には、落札予定業者が事業を確実に受注できるように入札額を調整していた=図

 入札不良「困る」

 機構側が予定価格を漏らしていた背景には機構内部の“事情”があるという。

 入札された価格がすべて予定価格を上回るなどして不調に終わると、再入札を行うまでに最低でも2カ月を要する。北陸新幹線は14年度末の開業を予定しており、入札不良が次々と発生すると開業時期に影響を与える可能性がある。

 北陸新幹線は、機構の前身の日本鉄道建設公団時代の1973年から持ち上がった事業。談合に参加した業者の関係者は「40年に及ぶ事業の中で融雪設備工事はその最後の工程。開業遅れは許されないという重圧が機構側にあった。官としては絶対に受注してもらわなくては困る状況だった」と話す。

 これまでの特捜部や公正取引委員会の聴取に対し、談合に関与した設備工事業者はほぼ全社の担当者が談合の事実を認め、機構関係者も官製談合の実態があったことを供述している。

 特捜部などは談合に機構の担当者だけでなく、組織的な関与がなかったかも調べる方針だ。ある検察幹部は「悲願の新幹線開業に間に合わないからといって、談合で入札を円滑に進めようとした実態が事実なら、看過できるものではない」と話している。(SANKEI EXPRESS

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