SankeiBiz for mobile

【モーグル】愛子晴れやか 「有終」4位 「五輪は成長する最高の場所」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのスポーツ

【モーグル】愛子晴れやか 「有終」4位 「五輪は成長する最高の場所」

更新

「五輪で最高の滑りだった」という決勝3回目を滑り終え、目頭を押える上村(うえむら)愛子。まだ、結果が出る前だったが、やり切ったという満足感、これが最後という思いが、自然と涙を流させた=2014年2月8日、ロシア・ソチ(古厩正樹撮影)  悲願のメダルには届かなかったが、鬼気迫るような気迫で力を出し切った表情は晴れやかだった。ソチ冬季五輪第2日の2月8日(日本時間9日未明)、フリースタイルスキー女子モーグルの決勝が行われ、5大会連続出場の上村(うえむら)愛子(34)=北野建設=は6人で争う3回目で20.66点にとどまり、前回バンクーバー五輪に続く4位となり、初のメダル獲得はならなかった。しかし、1位でも2位でも3位でも不思議ではなかった渾身の滑りは、日本から声援を送った人々の記憶に永く残るに違いない。

 「達成感がマックス」

 初出場した1998年長野大会から、五輪での順位を7-6-5-4ときれいに一段ずつ上げてきた上村はこの日、20人による決勝1回目で9位、12人で争う2回目で6位に入り、3回目に進出。積極的な滑りを見せたが表彰台に届かなかった。

 「決勝の愛子の滑りは自分の中では悪くても銅メダル。最後はジャッジに泣かされた。残念と言うしかない」。上村のスキー板を14年間にわたってつくってきた「マテリアルスポーツ」社長、藤本誠さん(55)=大阪府守口市=は、応援に駆けつけたソチの会場でこう語り、悔しさをにじませた。

 だが、当の上村は、6人の中で最初に3回目を滑り終えた直後は涙を見せたが、結果が決まってからのインタビューでは、「今は達成感がマックス(最大)。(バンクーバーと同じ4位でも)前回よりすがすがしい。メダルを取れていればそれでうれしかったし、7位でも多分同じ気持ちだった。攻め切れる滑りができるところまで戻ってこられた。もうちょっと頑張れば越えられたのではないか、という壁が今回はなかった」とすがすがしかった。

 惜しかった。6人中5人が競技を終えた段階で上村は3位。最後に登場したバンクーバー金メダリストのハナ・カーニー(米国)がターンでミスを連発し、上村はフィニッシュエリアの暫定3位の席から、「これはもしかしたら(表彰台に)乗ったかなと思った」。しかし、結果は2.77点差の4位。恋い焦がれたメダルが、またも寸前で手からすり抜けていった。

 母「本当に幸せ」

 「ありがとう」。上村は試合後、フェンス越しに母、圭子さん(62)を見つけ、手を振った。「よかったね。頑張ったね」と圭子さん。いつもの“愛子スマイル”ではなく、安心したような娘の表情になった。

 5回目の五輪。圭子さんはいつも娘のそばにいた。5位に終わった2006年のトリノ大会では、涙があふれた娘に手作りの特大「金メダル」をかけ、ねぎらった。

 「予選突破で十分。6人に残れただけでいい」。こう話した圭子さんは、3回目は目を真っ赤にして見つめた。愛娘はメダルへの「最後の一段」は上れなかったが、「スキー一筋に頑張ってきた、真面目に生きてきた娘。だから私は本当に幸せです」。圭子さんは上村と同じ晴れやかな笑顔を見せた。

 上村の夫の元アルペンスキー五輪代表選手、皆川賢太郎さん(36)も9日、東京都内で報道各社の取材に対し、「あそこまで出し切って、タイムも一番速かった。よく頑張った。十分だよと言いたい」と妻の健闘をねぎらった。

 上村は「五輪はこれが最後。楽しいところであるとともに、悔しい思いも苦しい思いもするけど、五輪は自分が成長する最高の場所だった」と話した。(SANKEI EXPRESS (動画))

ランキング