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【逍遥の児】飛躍誓うボブスレー日本代表
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2014年ソチ冬季五輪会場。競技は、ロシア・ソチの市街地から約40キロ南東にある黒海沿岸の「アドレル」と、アドレルから約45キロ離れた山岳地域の会場「クラースナヤ・パリャーナ」の2カ所で実施。(C)Google 「氷上のF1」と呼ばれるボブスレー。時速約130キロのスピードで疾走し、100分の1秒を競う。ソチ五輪日本代表、鈴木寛(ひろし)選手(40)=北野建設=と会った。青いネクタイ。灰色のブレザー。胸には日の丸。笑顔が絶えない。明るい選手だ。
北海道出身。中学・高校時代は陸上競技や野球で活躍。雪上競技とは縁がなかったという。
仙台大学に進学した。高校時代の野球部の先輩が大学にいた。ボブスレー部員だった。先輩に誘われた。
「おまえ、足が速いし、ボブスレーやってみないか」
初めての体験だった。新幹線のような流線形のそり。スタート地点。全速力で走って初速を上げ、そりに飛び乗る。ハンドルを操作して氷のコース(約1500メートル)を猛スピードで滑走する。操作を誤れば、危険だ。ひどいときはコースを飛び出してそりがひっくり返ることもある。
――初めて乗ったとき、恐怖感はなかったですか
「なかったですね。怖いとか、感じなかった。必死でしたから」
おびえることを知らない、天性の肝っ玉。先輩はいった。「おまえには適性がある」。その言葉に背中を押され、青春をボブスレーにかけようと決断した。やるからには、最初から世界を視野に入れていたという。
「野球や陸上競技で、日本代表になるって大変でしょう。その点、日本のボブスレーの競技人口は少ないので、代表選手になりやすい。世界が近い。世界の舞台で戦える。それが自分にとって大きな魅力でした」
有言実行。つらく、地味な筋力訓練に耐えた。才能開花。早くも在学中、リレハンメル五輪(1994年)に出場。18位となった。以来、日本のボブスレー界を牽引(けんいん)。全日本選手権2人乗りでは12連覇を果たしている。
体育館や陸上競技場で基礎訓練。長野県のコースで実技練習を重ねる。
ソチ五輪では、2人乗り、4人乗りの2種目にハンドルを操作するパイロットとして出場する。「五輪は5度目の挑戦です。今回は足の速い選手がそろった。上位を目指します」(塩塚保/SANKEI EXPRESS (動画))