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米女性が「お接待文化」を紹介

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米女性が「お接待文化」を紹介

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 愛媛県で約3年暮らした2人の米国人女性が、四国霊場八十八カ所を自転車で巡った体験を、手作りの絵本にまとめた。道中の風景の絵に英語の説明を添え、紙は地元特産の和紙を使った。巡礼者に温かく接する、四国の「お接待文化」を海外に伝えたいと話す。

 絵本「Temple by Temple(寺から寺へ)」をまとめたのは、グアム島出身のチェルシー・リーディさん(29)とミシガン州出身のエレーナ・スナイダーさん(26)。ともに2009年に外国語指導助手として来日、12年8月まで愛媛県八幡浜市などの小中高で教えた。白装束姿の人々を頻繁に目の当たりにしたことで、遍路に興味を持った。

 帰国前の12年9月、自転車での霊場巡りを思い立ち、16日間で全88札所を回った。走行距離約1500キロ。高知では菓子店の店主がまんじゅうをくれ、徳島では通りすがりの人が2人を軽トラックに乗せ寺に運んでくれた。「つらくてめげそうになったこともあったけど、多くの人が優しくしてくれた」

 遍路体験、絵本に

 帰国後、体験を伝える絵本づくりを発案。インターネットで制作資金を募り、愛媛県内子町の和紙を使って、1冊ずつ糸でとじた手作りの初版本176冊を完成させた。

 40ページの絵本は、自転車で遍路する女の子が主人公。自転車の荷台に乗った黒いネコが語り手として物語を展開する。絵はスナイダーさん、説明はリーディさんが担当。「手にした人々が八十八カ所とつながるように」と、一冊一冊に札所でもらった朱印を付けた。

 初版本(価格60ドル=約6100円)は完売し、第2版の出版を検討中。「日本語版も出したい」と2人の夢は広がる。本の一部はブログhttp://bigricefield.com/で見ることができる。

 ≪外国人女性初の「先達」≫

 今年は四国霊場開創1200年。お遍路の魅力を伝え、霊場へ人々を導く、四国八十八カ所霊場会公認の「先達」に昨年(2013年)12月、ソウル市の崔象喜さん(38)が認証された。昭和以降、約1万5000人が認証されたが、外国人女性は初めて。「先達として誰かの力になりたい。お世話になった人に恩返ししたい」と語り、今年3月に大阪で開かれる講演会にあわせ来日し、四国での経験を話す予定。

 崔さんはインターネットでお遍路を知り、「旅好きだった亡き父の供養に」と2010年に初挑戦。結婚を控えた11年には夫との幸せな生活を願い再巡礼。その後も毎春にお遍路を繰り返し、日本語も上達した。

 「腰を痛めた時は地元民の車で病院へ連れていってもらった。予約もせず家に泊めてくれたこともあった」と崔さんは振り返る。お接待やおもてなしに支えられ、13年5月に先達認証に必要な4度目の全箇所巡礼を果たした。

 崔さんは、ホームページなどでお遍路を韓国人に紹介する活動もしており、現在は自分の体験談を本にまとめている。「韓国人もお遍路をすれば、日本の印象がきっと変わる」と日韓関係の改善に願いを込める。(SANKEI EXPRESS (動画))

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