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【アイスホッケー】男子 国技復活の夢散ったロシア 準々決勝敗退

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【アイスホッケー】男子 国技復活の夢散ったロシア 準々決勝敗退

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【ソチ五輪】アイスホッケー男子(決勝トーナメント)=2014年2月19日現在、ロシア・ソチのボリショイ・アイスドーム、※現地時間  ロシア国民の期待を背負ったアイスホッケー男子代表の夢が砕け散った。ソチ冬季五輪第13日の2月19日夜、アイスホッケー男子の準々決勝4試合が行われ、開催国の威信にかけて金メダル奪還を目指したロシアは、前回バンクーバー五輪3位のフィンランドに1-3で敗れた。ベスト8での早過ぎる敗退に大きな失意が国民の間で広がり、ジネトゥラ・ビリャレトディノフ監督(58)は「国民にただ謝りたい」と喪失感をあらわにした。ロシアは今大会、強化策が奏功し、競技全般を通じて往年の強さが戻ってきているが、最も金メダルが欲しかった競技でメダルを逸し、“復活”も色あせた形だ。

 まばゆい輝きを放つはずの個人技が、孤立して空転。試合終了のブザーが鳴ると超満員の観衆は言葉を失った。

 エース、わずか1点

 ロシアは第1ピリオドに1点を先制したが、守備が安定せず2失点。第2ピリオドにフィンランドに3点目を奪われた。最高峰の北米プロリーグ、NHLで活躍する屈指のエース、FWアレクサンドル・オベチキン(28)はこの日も不発。大会5試合でわずか1得点に終わり、「最低だ。今は何の感情も湧かない」と吐き捨てた。同じNHL選手で主将を務めたFWバベル・ダチュク(35)も「今あるのは落胆だけだ…」と沈痛な表情を浮かべてリンクを去った。

 「金」獲得が至上命令

 アイスホッケーが国技のロシアでは、ウラジーミル・プーチン大統領(61)が1次リーグの米国戦から会場に姿を見せて強い関心を示し、金メダルはいわば“至上命令”だった。にもかかわらず、メダルにさえ届かない準々決勝敗退。冬季競技を統括する大統領府のウラジーミル・コジン総務局長は「輝けるスターはいるが、組織がなかった」と、国民の失望を代弁した。

 ロシアは今大会、プーチン大統領の大号令で多額の強化費を投下し、環境整備、選手強化を推し進めた策が奏功し、19日までで金メダル6個、総メダル数では22個を獲得。金メダル数で史上最低の3個に終わった前回のバンクーバー五輪から復調傾向にある。しかし、ロシアには「アイスホッケー男子が金メダルを取った五輪は勝利」という言葉がある。裏を返せば、どれほど多くの金メダルを取ろうとも、アイスホッケー男子が優勝しなければ、その五輪はロシアにとって「負け」なのである。

 ソ連崩壊とともに弱体化

 かつて旧ソ連のアイスホッケー男子は格段の強さを誇った。五輪では、初優勝した1956年のコルティナダンペッツォ大会からソ連崩壊の翌年にEUNとして参加した92年のアルベールビル大会までの10大会で、開催国の米国が優勝した60年と80年の2大会を除く8大会で金メダルに輝いた。さらに76年からソ連が崩壊する91年までは、国内の強豪クラブが単独チームとして毎年交代で北米に遠征。NHLの名門チームと対戦し、16年間で55勝33敗10分け(勝率6割2分5厘)という戦績を残し、トッププロを相手にしても世界最強であることを証明した。

 しかし、ソ連崩壊とともに練習環境が劣化。ステート・アマとして保証されていた選手特権もなくなり、多くの優秀な選手・指導者が海外に流出し、一気に弱体化した。ロシアになってからは、98年長野大会で銀メダル、02年ソルトレークシティー大会で銅メダルを獲得した以外はメダルを逸し、今回で3大会連続のメダルなしとなった。

 オベチキンは「何かが足りない。変化が必要だ」と危機感を募らせた。(SANKEI EXPRESS (動画))

 

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