SankeiBiz for mobile

【エコノナビ】漢方の産業化で「健康日本」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの経済

【エコノナビ】漢方の産業化で「健康日本」

更新

 超高齢化社会をむかえて西洋医療に漢方や鍼灸(しんきゅう)、指圧マッサージなどの伝統医療を組み合わせた「統合医療」への期待が高まっている。

 2月19、20の両日、東京・有明のビッグサイトで開かれた第10回統合医療展(主催・UBMメディア)でも、日本統合医療学会、日本東方医学会、全国鍼灸マッサージ師協会などがブースを構え、1万2000人を超える来場者があった。

 しかし、一般の人の統合医療への認知度はまだまだというのが実情だろう。そうした現状を踏まえれば、神奈川、富山、奈良3県と大学、医療機関、農業者、さらに製薬・食品・流通・商社など20社による「漢方産業化推進研究会」設立の動きは、注目度が高い。研究会の中核になっている三菱総研によれば、今年4月をめどに法人化し、それぞれが連携し、国内での薬草栽培から製品化、医療機器の開発、さらには海外への輸出を視野に漢方の10兆円産業化を目指すという。

 背景には国内の高齢化という事情だけでなく、世界的に漢方への関心が高まっており、市場規模の拡大が見込めることがある。すでに、中国や韓国は戦略的に漢方の国際標準化、産業化を目指して動き出している。だが、日本は漢方薬の原材料の8割以上を中国に依存する一方、国内の薬草生産技術は存亡の危機にある。中国は今後、甘草など薬草の輸出規制に乗り出すとの観測もあって、薬草の高騰も危惧される。研究会では耕作放棄地や中山間地を有効活用し、薬草栽培によって農業再生との一挙両得を目指すという。

 これまで漢方の伝統の技術や知見、ノウハウを統合し、一大産業化するシステムづくりが構想されてこなかった。国の西洋医療偏重に加え、生薬は農水省、医薬品は厚労省、産業政策は経産省などと分断されている点が弊害として指摘されている。国民医療費が38兆円を超えて年々増加する中、病気の予防に注力していくというのが国の医療指針「健康日本21」の考え方だ。漢方の新産業化をきっかけに今後、統合医療に関する具体的な動きが加速することを期待したい。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS (動画))

ランキング