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【Q&A】露のクリミア併合 念願の「要塞」奪還 国際秩序揺るがす
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ロシアが隣国ウクライナ南部クリミア半島の併合を決め、批判を浴びている。
Q クリミアはどんなところ?
A 黒海の北岸の半島で、名は「要塞」を意味するといわれる。温暖で雨は少なく、南端に風光明媚(めいび)な観光地ヤルタがある。第二次大戦末期にドイツと日本の敗色が濃くなった際、米英など連合国の首脳が千島列島の帰属など戦後秩序を協議した場所だ。
Q ロシアにとってはどんな場所なの?
A ロシアの大半は厳寒の内陸部だが、18世紀から19世紀にかけ、真冬も凍らない港を求めて南下して勢力を拡大し、大国となる。クリミアはそれを支えた要衝だったんだ。トルコを本拠としたオスマン帝国と戦争を繰り返す中で、1783年にクリミアを獲得し、黒海艦隊を創設してセバストポリを軍港とした。20世紀の第一次大戦、第二次大戦ではドイツに一時占領された。
Q ナイチンゲールが活躍したんだって?
A 19世紀のクリミア戦争だね。負傷兵を献身的に看護して「クリミアの天使」と呼ばれた。この戦争でロシアは英国やフランスに敗れ、南下政策を阻まれたんだ。
Q なぜウクライナ領になったの?
A 1917年のロシア革命で皇帝ニコライ2世が退位し、その後、労働者の国という理想を掲げた世界初の社会主義国家ができた。ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)だ。実際は共産党の官僚が独断的に国を支配した。54年、共産党トップでウクライナ系とされるフルシチョフ第1書記が、クリミアをソ連内のロシア共和国からウクライナ共和国にプレゼントしたんだ。今回の混乱の伏線だ。
Q 贈った理由は
A 「友好の証し」といわれる。当時はソ連内部の行政区分の変更にすぎず、まさか後に大問題になるとは考えなかっただろう。だが、党官僚の専横がひどかったソ連は、経済も行き詰まって91年に崩壊し、ロシアやウクライナは独立国家となった。
Q クリミアが外国になってしまったね
A そうだ。約6割を占めるロシア系住民の多くは「取り残された」と感じていた。ウクライナでは反政府デモが激化して今年2月に政権が倒れた。混乱に乗じて、ロシアが再び領土に編入する動きを一気に進めた。
Q 念願を果たしたわけだ。何が問題なの
A 編入は住民投票で決めた形をとったが、数万人のロシア軍とみられる部隊が軍事圧力をかけて進めたんだ。ウクライナ憲法に違反するし、ソ連崩壊後に誕生した独立国間の約束や国際法に反している。
Q 世界から見ればちっぽけな半島でしょ
A そうは言えない。20世紀の大戦で苦しんだ人類は「力による国境変更はもう認めない」という鉄則を打ち立てた。この秩序を揺るがすクリミア併合を認めると、世界中で領土争いが激しくなる恐れがある。日本と中国の対立の焦点である沖縄県・尖閣諸島の問題にだって影響しかねない。だから各国が強く抗議しているんだ。
≪「露大統領、終わりの始まり」≫
ウクライナのティモシェンコ元首相は、ウクライナのテレビとのインタビューで、ロシアのプーチン大統領の現在の最大の目的は「世界秩序を変え再編することだ。ウクライナは最初の重要な一歩だ」と述べた。ウクライナの通信社UNIANが報じた。
元首相はプーチン氏が軍事介入に踏み切ったのは「ウクライナを政治的に獲得できなかったためだ」と強調した。一方、ロシアは軍事介入で当初、ウクライナ全土を掌握するため「首都キエフまで戦車を送る電撃作戦」を練っていたが、ウクライナが挑発に乗らなかったため「計画が崩れた」と語った。
電撃作戦が成功しなかったことは「プーチンにとって終わりの始まりになる」とも強調した。(共同/SANKEI EXPRESS)