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科学
【STAP細胞】小保方氏 悪意ない単純ミス主張
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会見に臨む小保方(おぼかた)晴子氏の代理人弁護士の室谷和彦氏(左)と三木秀夫氏=2014年4月8日午後、大阪市北区(松永渉平撮影) ≪STAP論文で不服申し立て きょう会見≫
新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題で、理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)は4月8日、研究不正を認定した理研調査委員会の最終報告に対し、不服を申し立てた。申し立てでは調査委の委員を入れ替えて再調査し、捏造(ねつぞう)や改竄(かいざん)があったとの結論を撤回するよう求めた。
会見した小保方氏の代理人弁護士は「調査委は研究不正と表現方法が適切かどうかを混同している」と批判し、理研側と全面的に争う姿勢を見せた。
小保方氏は今回の問題について9日午後1時、大阪市内のホテルで記者会見し、自ら説明する予定。
調査委は(4月)1日に公表した最終報告で、STAP細胞の万能性を示すとされた画像について、小保方氏が博士論文に関連する別の実験画像から流用したとして捏造と判断。これに対し小保方氏側は申立書で「ミーティング用の資料画像を誤って使用したもので、学位(博士)論文の画像を切り張りしたものではない」と主張。悪意のない画像の取り違えとした。
改竄と認定されたSTAP細胞を作製した証拠となるDNAの解析画像の切り張りについては「実験によって得られた結果は、画像の挿入(切り張り)によって何の影響も受けず改竄に当たらない」と反論。
論文に投稿する写真の適切な掲載法について教育を受ける機会に恵まれず、見やすいようにするため画像の切り張りを行ったと説明した。
調査のあり方についても「反論の機会を十分に与えることなくなされた」と指摘し、調査委が自らの検証を過信して判断を誤ったと批判。再調査の必要性を主張した。また、同じ委員で再調査が行われれば、公正な判断ができないとして調査委メンバーの入れ替えを求めた。
会見した代理人の室谷和彦弁護士は「不正と認定された2点はいずれも悪意のない間違い。過失は研究不正に含まれない」と述べ、研究不正はないとの認定を求めた。
調査委は不服申し立てを受け、再調査の必要性の有無を検討する。必要と判断すれば、再調査して50日以内をめどに結論を出す。
≪小保方氏 悪意ない単純ミス主張≫
新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題で理化学研究所の小保方・研究ユニットリーダーが行った不服申し立ては、理研の調査委員会の見解と真っ向から対立するものとなった。研究不正の要件とされる「悪意」の有無が最大の争点になる。
理研の規定によると、「悪意のない間違い」は不正に含まないとされており、小保方氏はこれを根拠に、不正ではないとの主張を申立書で展開した。
調査委は、STAP細胞がさまざまな細胞に分化する万能性を持つことを示す重要な画像が、小保方氏の博士論文に関連する別の実験画像から流用された点について「条件が違う画像を使うこと自体、単純な間違いとは理解しがたい」と悪意を認定、捏造と断じた。
これに対し小保方氏は「勘違いによる悪意のない取り違えにすぎない」と反論。さらに「捏造は存在しないデータや研究結果を作り上げ、記録または報告すること。掲載すべき画像が存在しているため該当しない」と主張している。
また、STAP細胞を作製した証拠となるDNAの解析画像を切り張りした点について、調査委は「当時の小保方氏は(論文投稿規定で)禁止された行為という認識が十分になかった」としながらも、「データの誤った解釈へ誘導する危険性を認識してなされた」と悪意があったことを認め、改竄と判断した。
これに対し、小保方氏は「投稿規定を知らず、見やすいように画像を加工してしまった単純ミス」と悪意を否定。改竄についても「良好な結果を示すデータが存在しており、(不都合な)データを偽装していないため改竄に当たらない」と反論した。
研究不正における悪意の解釈が争点になりそうだが、調査委は最終報告の会見で「悪意を故意と置き換えて不正と認定した」と説明。ある研究者は「世間一般でいう『だます』といった悪意ではなく、不正と疑われる余地があると認識していたかどうかだ」と指摘する。
愛知淑徳大の山崎茂明教授(研究発表倫理)は「科学の不正を監視する米研究公正局は、誠実な誤りでないものを不正と定義しており、悪意の有無は問題にしていない。悪意がない間違いだから不正ではないという小保方氏の主張は、国際的には全く通用しない」と話している。(SANKEI EXPRESS)
・理研が2項目を「研究不正」と認定したのは妥当でない。再調査し、研究不正ではないと認定するよう求める
・実験画像の切り貼りなどは見やすくするために行った。不適切だったが、間違った結論を導くものではなく、改ざんには当たらない
・(画像の適切な使用について)教育を受ける機会に恵まれなかった
・博士論文とよく似た画像の使用は、画像を取り違えた。使用すべき画像は現に存在し、捏造(ねつぞう)との判断は根拠がない
・データ管理が不十分で、深く反省する
STAP細胞の万能性を示す画像が小保方氏の博士論文の関連画像と酷似
(理研側の主張)実験条件の違いを認識していなかったとは考えにくい。データの信頼性を根本から壊す危険性を認識しながらされた捏造
(小保方氏の主張)勘違いによる単純な取り違え。存在しないデータを作り上げておらず捏造ではない
(理研側の主張)誤った解釈を誘導す危険性を認識。きれいに見せる目的で行われた改竄
(小保方氏の主張)論文の投稿規定を知らず、見やすくしただけのミス。良好なデータに偽装する改竄ではない
(理研側の主張)故意の行為で悪意ある不正
(小保方氏の主張)悪意がなく不正ではない