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【STAP細胞】「核心」捏造 科学史に汚点

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【STAP細胞】「核心」捏造 科学史に汚点

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理化学研究所の研究ユニットリーダー、小保方(おぼかた)晴子さん=2014年1月28日(伊藤壽一郎撮影)  ≪STAP細胞論文 理研が不正認定≫

 理化学研究所などが発表した新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文に疑義が生じた問題で、理研は4月1日、調査委員会の最終報告書を公表し、重要な画像に捏造(ねつぞう)と改竄(かいざん)があったと不正を認定した。理研は不正を行った小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)を厳正に処分する方針だが、小保方氏は争う姿勢を明らかにした。不正が認定されたことで、革新的な万能細胞として世界から注目されたSTAP論文は白紙化する公算が大きい。優秀な科学者が結集し日本を代表する研究機関である理研の信用が失墜した事態は、科学史の汚点として記憶されることになる。日本の科学界が受けたダメージは深刻だ。

 「データの信頼性壊す」

 調査委の最終報告によると、不正と認定されたのは小保方氏の3年前の早稲田大の博士論文の関連画像から流用された画像4枚と、一部が切り張りされたDNAの解析画像。

 博士論文に関連する流用画像は、酸の刺激によって作ったSTAP細胞が、体のさまざまな細胞に分化する万能性を示すとした最も重要な画像。小保方氏は「取り違えた」と説明したが、調査委員会は「酸処理という極めて汎用(はんよう)性の高い方法を開発したという主張が論文の中核的なメッセージで、この実験状況の違いを認識していなかったとは考えがたい」と意図的な不正と断じた。その上で小保方氏が早稲田大に提出した博士論文に関連する別の実験の画像を流用したと判断。「データの信頼性を根本から壊すものであり、捏造に当たる」と認定した。

 これに対し、小保方氏は代理人弁護士を通じて出したコメントで真っ向から反論。「単純なミス」と改めて釈明し、「画像取り違えについては、外部から指摘のない段階で自分でミスを発見した」と不正の目的も悪意もなかったと強調した。

 また、DNA解析画像の切り張りについて小保方氏は「禁止されていることを知らなかった」と説明した上で、元の画像をそのまま掲載した場合と結果は何ら変わらないと主張した。しかし、調査委は「きれいに見せたいという目的性をもって行われた加工」と指摘し不正な改竄と判断した。

 最終報告について、小保方氏は「悪意のない間違いにもかかわらず改竄、捏造と決めつけられたことは、とても承服できない」と反論する談話を発表。代理人弁護士によると1週間以内に理研に不服申し立てを行い、その後、記者会見するという。

 存在自体に深まる疑念

 最終報告では、共著者の笹井芳樹理研発生・再生科学総合研究センター副センター長と元理研の若山照彦山梨大教授について、不正はなかったとしながらも、データの正当性と正確性を自ら確認しなかったとして責任は重大とした。同じく共著者で理研の丹羽仁史氏に不正は認められないとした。

 小保方氏らは1月末、STAP細胞の論文を英科学誌ネイチャーに発表。世界的に注目されたが、実験の根幹に関わる部分で不正が明らかになり、論文の信頼性は失われた。STAP細胞が本当に存在するかどうかも疑念が深まっており、理研は内部で検証作業を続ける一方、最終判断は第三者の検証に委ねるとした。(SANKEI EXPRESS

 【理化学研究所による記者会見のポイント】

・小保方晴子氏に2点の研究不正を認定

・DNAを解析した画像の切り張りは改竄、博士論文に関連する画像の流用は捏造に当たる

・笹井芳樹、若山照彦両氏に研究不正はなかったが、責任は重い

・不正の当事者に不服申し立ての機会を与えた上で厳正に処分する

・STAP細胞の存在の有無を検証し、外部の追試にも協力する

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