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個性的フレーズたたき出す ファンクのホープ Mountain Mocha Kilimanjaro

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個性的フレーズたたき出す ファンクのホープ Mountain Mocha Kilimanjaro

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 国産のファンクが熱い! ファンクといえば本場はアメリカで、1970年代に隆盛を誇ったブラックミュージックの一形態。起源には諸説あるが、60年代後半にジェームス・ブラウンが、リズム・アンド・ブルースとロックを融合させて生み出したというエピソードが有力視されている。メロディーを聴かせるソウルに対し、歌の譜割りがよりリズミックで叫びに近い歌唱が主流で、時に声ではなく管楽器のリフが楽曲の主旋律となるファンクは、そもそも高揚感が強く、“熱い”音楽である。

 国内外に支持者

 そんなファンクの日本での盛り上がりが今年に入って加速している。その代表格、オーサカ=モノレールは、まさにジェームス・ブラウンの精神を受け継ぐ大所帯バンド。世界最大の音楽フェスティバル、WOMADにも出演し、今や国際的な認知度を誇る日本でナンバーワンの国産ファンクバンドといえるだろう。

 また、今年に入ってCDがリリースされ、がぜん注目を集めるのが紅一点、女性シンガーAmy Aを擁するQ.A.S.B。彼らはヒップホップの草創期からDJやダンサーに愛されてきたイギリスのロックバンド、Babe Ruthによる名曲「The Mexcian」をファンクカバーし、一躍クラブシーンで話題となった。

 そして、今回本稿で筆者が推したいアーティストが、ニューアルバム、『壱弐参四伍録』を発表したばかりのMountain Mocha Kilimanjaroである。2008年にファーストアルバムを発表し、FUJI ROCK FESTIVALに出演。09年にはイギリスの名門7インチレーベル、Jazzmanから日本人として初となるリリースで脚光を浴びた。毎年、オーストラリアツアーを敢行するなど国内外で支持者は着実に増えつつあり、今や国産ファンクのホープとしてその地位を完全に確立したといえる。

 全員が主役

 Mountain Mocha Kilimanjaroは、オーサカ=モノレールやQ.A.S.Bとは異なり、ボーカリストを起用しないインストゥルメンタル・ファンク・バンドだ。しかし、歌がないことをまったくハンデにしないキャッチーなホーンのテーマが非常に魅力的である。それだけではなく、ドラム、ギター、ベース、オルガン、トランペット、サックスといったすべての楽器が奏で、たたき出すパターンやフレーズが個性的で、歌の脇役ではなく、バンド全員が主役であるかのような各メンバーの主張の強さも彼らの特徴といえる。

 2000年代に入りドラムンベース、ブレークビーツ、テクノといったアグレッシブなコンピューター世代のダンスミュージックがクラブシーンで支持されてきたが、ここ数年は若者の間で1970年代ファンクの再評価が盛り上がりつつある。音楽配信が定着する中、入手困難なアナログ盤の人気が逆に高まり、無機的な音楽への反動もあってか、泥臭く懐かしい音楽が新しく聴こえるのかもしれない。そんな中、生楽器でクラブサウンドと同様のテンションを生み出し、ブラックミュージック特有のダンサブルなリズムを獲得しながらも、ロックに拮抗するエネルギーを発散する彼らは必然的に人気を博していった。

 ギャップに親近感

 ニューアルバムでは全曲のタイトルを日本語にするなど、彼ら特有のしゃれたセンスも心憎いところだ。迫力のある演奏とステージで曲間に見せるユーモアあふれるMCのギャップが見るものに親近感を抱かせるという効果もあるに違いない。

 70年代の刑事ドラマのテーマ曲に似た音楽性は、ひょっとするとリアルタイムでファンクを聴いた大人のリスナーにも受け入れられるかもしれない。

 オーサカ=モノレールの中田氏が画策する、国産ファンク勢による一大イベント“ファンク・サミット”なる構想を耳にしたことがある。そのラインアップにMountain Mocha Kilimanjaroがノミネートされることをひそかに期待している。(沖野修也)

 ■マウンテン・モカ・キリマンジャロ 2003年頃結成、07年より現在の6人編成となる。08年、1stアルバム『Mountain Mocha Kilimanjaro』をリリース。全国各地の野外フェスの常連として出演を続ける。14年にはアニメ『スペース☆ダンディー』に楽曲提供するほか、3月には4thアルバム『壱弐参四伍録』を発表した。

 ■おきの・しゅうや クリエイティブ・ディレクター/DJ/執筆家。著書に『DJ選曲術』や『クラブ・ジャズ入門』など。1月発売の『DESTINY replayed by ROOT SOUL』がiTunesダンス・チャート1位を獲得。今年、DJ25周年を迎える。

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