SankeiBiz for mobile

【韓国旅客船沈没】4人死亡、280人超不明 高校生ら修学旅行中

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

【韓国旅客船沈没】4人死亡、280人超不明 高校生ら修学旅行中

更新

韓国・珍島=2014年4月16日午前9時ごろ、韓国の旅客船「セウォル」号(乗客乗員計462人、6825トン)が珍島付近を航行中に遭難信号を発信した。※聯合ニュースによる  修学旅行中の高校生らが乗った韓国の旅客船「セウォル号」(乗客乗員計462人、6825トン)が4月16日午前9時ごろ、韓国南西部の珍島(チンド)付近を航行中に遭難信号を発信した。船体は左側に傾いて徐々に浸水、昼前に完全に沈没し、韓国政府によると、男子高校生ら計4人の死亡が確認された。韓国政府はこの日午後7時までに、174人が救助されたが、284人が行方不明になっていると明らかにした。

 救助された乗客らは「船から脱出できなかった人がたくさんいた」と証言しており、沈没した船内に多数が取り残された恐れが出ている。韓国で史上最悪規模の船舶事故となる可能性が高まっている。

 在韓国日本大使館によると、旅客船に日本人が乗っていたとの情報は入っていない。

 韓国政府は海洋警察や海軍などの艦艇約70隻や航空機18機を派遣、潜水要員160人を投入して救助に全力を挙げた。朴槿恵(パク・クネ)大統領(62)は人員や装備を最大限活用し、救助に最善を尽くすよう指示した。

 米海軍も16日、安否不明者の捜索などを支援するため、長崎県・佐世保基地を拠点にする強襲揚陸艦ボノム・リシャールを現場海域に派遣することを決めた。

 旅客船は15日夜、韓国北西部の仁川を出発、南部の済州島に向かっていた。濃霧のため出発が遅れたという。

 事故現場の水深は約40メートル。海洋警察は「事故直前にドンという音がした」との乗客の証言などを基に、旅客船が暗礁に衝突した可能性などを視野に詳しい事故原因を調べている。

 韓国政府によると、死亡が確認された4人のほか、55人が負傷し病院へ運ばれた。旅客船には、修学旅行中だったソウル郊外の高校生325人も乗っていた。

 韓国政府は当初、368人が救助されたと発表したが、その後、集計の過程で重複が生じたとして救助された人数を減らす発表訂正をした。

 韓国のYTNテレビによると、セウォル号は日本で1994年に建造され、約18年間運航した後、2012年に韓国側が入手、昨年3月に運航を開始した。聯合ニュースによると、全長146メートル、幅22メートル。定員は約920人。

 ≪「ドン」と衝撃 船体傾き一気に浸水≫

 大きな衝撃の直後、船体は急激に傾き船内に水が流れ込んだ。倒れた自動販売機に当たって負傷、流血する人も。修学旅行生を中心とした乗客らは、韓国メディアに沈没時の状況を口々に語った。報道などから事故時の状況を再現した。

 乗客乗員462人を乗せた旅客船「セウォル号」が仁川を出港したのは4月15日午後9時ごろ。霧のため約2時間半遅れての出発だった。乗客は船内で就寝し、目的地の済州島まで通常なら約13時間半で運ぶ便だ。

 乗客らが朝食を済ませ、売店や客室でくつろいでいた16日朝。「『ドン』という音が聞こえ、船が傾いた」(男子生徒)。転倒したり頭から血を流したりする生徒もいた。別の女子生徒はKBSテレビに「(最初は)波が強いのかと思ったが、船がどんどん傾いて不安になった」と証言した。

 エンジン室にいた船員は「船の前部が衝撃を受けた」。別の乗客は「船が90度近く傾くと、船体の側面から一気に水が入ってきた」と語った。

 船は午前9時ごろ、南西部の珍島(チンド)付近から遭難信号を発信。午前10時10分ごろ「沈没が迫っている。乗客は海に飛び降りろ」との船内放送が響く。「自信があれば(傾いた船の)甲板に登れ」との指示も飛び交い、船内は混乱した。午前9時20分ごろ、乗船者の一人は韓国メディアの電話取材に「船が完全に沈んでいる。学生が多く、早く救助しないと大事になる」と緊迫した状況を伝えた。女子生徒は「床より壁に立っている方が楽なほど(傾いていた)。甲板に登れない子も多かった」。女子生徒はヘリで救助され、上空から多数の救助船舶を見た。

 3階の船室に友人らと一緒にいた乗客の柳浩実さん(58)は、海に飛び込みゴムボートに救助された。当時の状況を「船が揺さぶられ、こすれるような音が聞こえた直後からゆっくり傾き始めた」と語り、異変を感じてから船の水没まで40分もかからなかったように感じたと振り返った。

 乗客の一人は、当初の船内放送は「その場にとどまるように」との内容だったと証言。自身は「じっとしていられず救命胴衣を着て(船室外に)出た」といい、「早く退避するよう指示した方が良かったのでは」と船員の対応に疑問を呈した。

 一方、海水に漬かってから救助された男子生徒は「海水はとても冷たく低体温症になり、救助されたボート上でぶるぶる震えた」と振り返る。韓国紙、中央日報は、現場海域の水温は12.6度で、救命胴衣を着けた状態での生存時間は2時間ほどだと指摘した。(共同/SANKEI EXPRESS

ランキング