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【伊豆大島】土嚢・食料…備え急ぐ伊豆大島住民

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【伊豆大島】土嚢・食料…備え急ぐ伊豆大島住民

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 ≪台風27号接近 防災相「空振り恐れず避難を」≫

 強い台風27号は10月24日、沖縄県南大東島の西を北上した。次第に進路を東よりに変え、25日から26日にかけて本州の南海上を北東に進む見込み。台風26号による土石流で大きな被害を受けた伊豆大島(東京都大島町)には26日に接近するとみられる。気象庁は伊豆大島について「26号の時と同じような気象状況。これまでの雨で土砂災害が発生しやすくなっている」と、厳重な警戒を呼び掛けている。

 古屋圭司防災担当相は24日、27号の接近で避難勧告が出た場合、「空振りを恐れずに避難してください」と、国民に呼び掛けた。災害の注意喚起は通常、市町村が担っており、政府の呼び掛けは異例だ。

 気象庁によると、発達する前線の影響で台風から離れたところでも雨が降り、25日から26日にかけ西日本から東日本の広い範囲で雨が多くなる。27号の24日午後6時現在の中心気圧は965ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は35メートル。一方、猛烈な台風28号は父島の南東を北西へ進んだ。中心気圧は905ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は60メートル。

 大島町の川島理史(まさふみ)町長は24日夜の記者会見で、25日午前に元町、泉津(せんづ)両地区に避難準備情報や避難勧告を出す方針を明らかにした。午後には全島に勧告を出すことも視野に準備を進めている。町は予備の1カ所を含め避難所14カ所を用意する予定。

 被害が甚大だった島西部の元町地区など二次災害の危険性が高まっている地区への勧告を優先し、気象状況などを見た上で他の地区に広げていく。

 伊豆大島からは、高齢者や介助者のほか、妊婦、乳幼児ら73人が24日午後、大型客船で島北部の港を出発した。町は、防災放送で今後の雨への警戒を町民に呼び掛けた。

 警視庁と町によると、新たに1人の死亡が確認され、死者は31人になった。うち27人の身元が判明し、13人が行方不明のままだ。

 ≪土嚢・食料…備え急ぐ伊豆大島住民≫

 「限られた時間の中で、できることはやった」。土嚢(どのう)の積み上げ、買い出し、避難所での布団の敷き詰め…。土石流被害を受けた伊豆大島(東京都大島町)では10月24日、台風27号の接近に備え、住民らが着々と準備を進めた。

 約1時間半かけて店舗周辺に土嚢を積んだ元町3丁目の文具店。(10月)19日の避難勧告の際は土嚢を準備しなかったが、周辺の被害を目の当たりにし、危機感は強い。従業員の柳瀬由紀子さん(63)は「水が入らなければいいが、万一に備えて低い場所にあった商品は2階に移した」と話した。

 ボランティアが土嚢を約600袋作り、元町2、3丁目の民家を中心に積んでいった。参加した男性(40)は「地図を見ながら、水を海へと流せるラインを作るように積んだ。台風前になんとか終わらせることができた」と、雨にぬれた顔を拭った。

 島北部の泉津(せんづ)地区でも避難に備え、町消防団泉津分団の約15人が、1軒ずつ住民が在宅しているかを確認し、地図に書き込む作業を繰り返した。

 26号襲来時に起きた土砂崩れで一部の道路は不通となったまま。酒井三彦分団長(50)は地図に目をこらし、「土砂で主要道路が寸断されて孤立する可能性がある。避難漏れがないようにしないと」。

 非常時に備え、保存食を買い求める客の姿も目立った。岡田地区の食料品店で買い物をしていた元町北の山の主婦、大西好美さん(71)は「ガスや水道が止まっても大丈夫なように、パンとお菓子をたくさん買った」と話した。

 元町地区の食料品店では、ミネラルウオーターや保存の効くカップ麺、菓子類などが売れ、ここ数日の天候不良も手伝って商品棚は品薄状態に。店員は「みんな万一に備えている」と説明した。

 26号による土石流で大きな被害を受けた神達(かんだち)地区と元町地区では自衛隊や警察、消防などが行方不明者の捜索と並行し、さらなる斜面崩落時の被害を最小限に抑えるため、沢や砂防ダムをせき止めていた流木と土砂の除去作業を続けた。

 元の姿とまではいえないものの、重機をフル稼働させた作業でこの日、水の通り道はある程度まで確保された。幹部自衛官は「限られた機材と時間の中でできることはやった。明日もぎりぎりまで打てる手は打つ」と話した。

 避難勧告が出された場合、町内に最大14カ所設けられる予定の避難所でも、住民の受け入れ準備が進められた。

 元町八重(やえ)の水(みず)にある都立大島高校では、教職員らが体育館と武道場を清掃。床に厚手のゴムシートを敷き、複数の毛布を組み合わせて約600人分の布団を用意した。前回の勧告時には約500人が訪れたが、今回はそれ以上の避難者が来ることも予想されるといい、スペースを作るために布団の間隔を以前より詰めたという。(SANKEI EXPRESS

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