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経済
【取材最前線】CPIは経済の体温計
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「どうして物価上昇が良いことなんだ。生活が苦しくなるじゃないか」
最近、知人の男性にこんな質問をぶつけられた。政府と日銀は物価が持続的に下落する「デフレ」からの脱却を目指しているが、このことに疑問を持ったらしい。確かに商品を安く購入できれば、消費者はうれしい。ましてや4月からは消費税の税率が引き上げられた。知人の疑問はもっともだ。
物価の一般的な指標として消費者物価指数(CPI)がある。CPIとは商品やサービスの価格変動を示した指数で、総務省が月末に前月の数値を発表している。日銀はこのCPIが安定的に2%上昇(消費税増税の影響を除く)する世界を目指している。
経済活動が活発になって多くの人がモノを購入するようになると、モノが不足して少々値段が高くても売れるようになり、CPIは上昇する。反対に経済活動が低迷するとCPIは下落する。景気動向を判断できるため、CPIは「経済の体温計」とも呼ばれる。
日本は長い間デフレという病に苦しんできた。長期間にわたりCPIの下落傾向が続き、人に例えれば体温が低下する症状が続いた。
景気が停滞してモノが売れないと企業はコストを抑えて値段を下げるために、賃金カットや設備投資を減らすといった合理化を行う。給料が少なくなった人はモノをなるべく買わず、節約する。こうしてモノが売れなくなると、企業はさらなる合理化を進め、経済規模は縮小していく。
企業や個人による「合理化」や「節約」という行動が、経済全体に悪影響を及ぼす。モノの値段が下がり続けれることは決して良いことではないのである。
このデフレという悪循環からの脱却を目指し、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の第1の矢として、昨年(2013年)4月に日銀は大規模な金融緩和を導入した。今年2月までCPIは9カ月連続でプラスで推移するなど、今のところ脱デフレの道のりは順調だ。
今春闘では大企業を中心にベースアップの実施が相次ぐなど賃金上昇の兆しも見え始めた。15年近くにも及ぶデフレの病から日本が抜け出すことが先決なのだ。(大柳聡庸/SANKEI EXPRESS)